平成28年度入学式


4月8日、静岡市駿河区のグランシップで、学部・大学院、短期大学部の合同入学式を開催しました。学部生633人、大学院生130人、短期大学生142人、計905人が新たなスタートを切りました。
入学式に続き、チアダンス部、アカペラサークル、ジャズダンス部のクラブ・サークル紹介を行いました。

式典の様子

新入生代表による誓いのことば

在学生代表による歓迎のことば

クラブ・サークル紹介

入学式 学長式辞

学長 鬼頭 宏

学長 鬼頭 宏

静岡県立大学、短期大学部、そして大学院に入学された諸君、入学おめでとうございます。お忙しい折柄ご臨席賜った来賓の皆様とともに、全教職員を代表して心よりお祝い申し上げます。
保護者の皆様には、お祝いを申しあげるとともに、ここまでお育て下さったことに対して、ご苦労さまでしたと感謝申し上げます。
 
本学は1987年に、静岡薬科大学、静岡女子大学、そして静岡女子短期大学の三校を統合して設立されました。今年は、統合から30年目の節目にあたります。また薬学部の源は、1916(大正5年)に設立された私立の静岡女子薬学校に遡りますから、今年はちょうど100周年を迎えます。
この大きな節目の年に入学された諸君には、あらためてお願いしたいことがあります。それは、大学の理念と目標を共有していただきたいということです。本学の理念は五項目からなりますが、その一つは、「地域社会と協働する、広く社会に開かれた大学」を目指すというものです。私はここに本学の重要な役割があると考えています。簡潔に言えば、「地域とともに、地域のために」ということです。地方創生が叫ばれる今こそ、県立大学が地域の核となって、アイデアを提供し、次代を担う若者を育てていかなければならない責任を負っています。
本学が目指す目標、あるいはミッションについても同様です。教育、研究、国際交流と並んで、地域貢献が謳われています。「県民の負託に応え、県政や産業界との連携を図りながら、卓越した教育と高い学術性を備えた研究による成果を地域に還元します」とあります。私は「地域をつくる、未来をつくる」ことを県立大学のミッションと考えています。
 本学は一昨年、平成26年度から文部科学省の補助金による「地(知)の拠点事業」として『ふじのくに「からだ・こころ・地域」の健康を担う人材育成拠点』に取り組んでいます。全学共通教育にも「しずおか学」や地域づくりに関する科目を多数、開講しているのも、地域の未来を担う人材を育成しようという、本学のミッションの実践にほかなりません。
 
私はこれまで、「地域とともに、地域のために」とか「地域をつくる、未来をつくる」ということばを紹介しました。しかしこのことは、皆さんが静岡という地域に閉じこもっていていれば良い、ということではありません。昨年は大学教育をめぐって、全国的に大きな議論が戦わされました。ひとつは、L型かG型かという区分、もう一つは国立大学文系学部不要論です。前者はローカルな人材供給に徹する大学とグローバルに活躍する大学に仕分けしろという提案です。後者はすぐに役立つ教育を求めて、実学ではない、経済や産業の役に立たない文系学部は縮小しろという提案でした。
全国で議論が沸き起こりました。私たちも学内で議論しました。結論として、地域を重視する本学は、国際交流にも力を入れて、グローバルに活躍できる人材を輩出することこそ、地域を強くするものだという認識で一致しています。もっと多くの留学生を受け入れること、本学からも諸外国に学生を送り出すことを推進します。皆さんもどんどん留学にチャレンジしてください。
また、本学の伝統となっている文理融合を維持することを改めて確認しました。現在、生命科学や情報工学など科学や技術が高度に進歩していますが、世界情勢は流動的であり、産業文明が成熟化しつつあるなかで、どのような未来社会を作れば良いのか、混沌とした状況にあります。科学技術を担う者には人間や社会についてより深く知ることが求められます。同時に、人文・社会科学を学ぶ者にも、科学や技術に関する最新の知識を身につける必要があります。人間、社会、技術、環境に関する真の意味での教養が求められる時代です。よくπ字型(円周率のパイです)ないしT字型人材と言われます。深い専門知識と広い教養の両方が求められるという意味です。お飾りとしての教養ではなく、専門的な知識を支える教養をひろく学んでいただきたい。

皆さん、30年後にはどうなっているでしょうか?18歳の人は48歳。働き盛りですね。「地域をつくる、未来をつくる」主人公は皆さんです。そのような皆さんに、私は「自立」と「ユニティー」という言葉をお贈りします。
自立とは自分の頭で考え、生活面でも独り立ちすることです。「独立」と言っても良い。福沢諭吉は『学問のすゝめ』(第3篇 1873年)で、「一身独立して 一国独立す」ということを説いています。「一人一人が自立していなくては、一国の独立もあり得ない」という意味です。では独立とは何か?「独立とは自分にて自分の身を支配し、他によりすがる心なきをいう。自ら物事の理非を弁別して処置を誤ることなき者は、他人の智恵によらず独立なり。みずから心身を労して私立の活計をなす者は、他人の材によらず独立なり」と定義して、物事の判断や、生活において自立する必要を論じています。詳しくは、『学問のすゝめ』を一度、紐解いてください。
しかし自立や独立だけを強調すると、孤立に陥ってしまうかもしれない。そこで「ユニティー」という言葉とセットで考えていただきたいのです。日本語でいうと一致とか和合、一体化、統合です。すなわち、一人一人が自立しながら、他人を無視するのではなく、一諸に手を組んで支えあっていってくださいということです。
今年は、自立とユニティーをめぐって、象徴的な年になるでしょう。その一つは「障害者差別解消法」が1週間前の4月1日に施行されたことです。「障害のある人もない人も、互いに、その人らしさを認め合いながら、共に生きる社会を作ること」が目指されています。
もう一つは昨年、公布、施行された「女性活躍推進法」です。女性が職業生活において、希望に応じて十分に能力を発揮し、活躍できる環境を整備することが目的とされています。雇用や昇進などで、女性だからと言って差別してはいけない、家庭生活と職業生活の両立が図れるように配慮することが求められています。一定規模以上の事業所では、行動計画を策定することが義務付けられています。本学も3月31日までに行動計画を提出しました。
最後の一つは皆さんに一番、関係のあることです。昨年法律が改正されて、年齢満18年以上20年未満の者が、選挙権を持てるようになりました。施行されるのはこれからで、今年6月19日です。学部、短期大学部の入学者全員が、6月から選挙権を行使できるのです。
今述べてきた三つの法の施行は、障害者、女性、若者の自立を促し、社会全体で支援することを宣言したものです。私はこれに、高齢者や外国人、異なる文化、宗教に対する差別の解消も含めていただきたいと考えています。皆さんはこのような、人は皆違うのだから、社会の多様性(ダイバーシティー)を尊重しようという記念すべき年に、新入生としてめぐりあわせたのです。「自立とユニティー」という言葉の意味をよく理解してその実践に心がけてください。
大学は皆さんの自立を支えるために、いろいろな形で手を差し伸べ、支援します。皆さんにとって、卒業後も頼りになる生涯の母校となるように努めます。皆さんも学部の枠を越えて、教職員と一体になって、知の共同体の一員として大学生活を楽しんでいただきたい。そして「地域をつくる、未来をつくる」主人公として、大いに研鑽を図っていただきたい。健闘をお祈りします。