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ブログ「学長の部屋」


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本庶佑先生、ノーベル賞受賞

うれしいニュースが届きました。本学の大学法人顧問で、昨年4月まで5年間、理事長を務めてくださった本庶佑先生が、がん免疫療法の開発で今年のノーベル生理学・医学賞を受賞されることが決まりました。毎年、金木犀の香りが漂う頃になると、今年はどうだろうかと、心を躍らせてきました。今年も、10月1日の夕方になると、テレビに釘付けになって、吉報を待っていました。受賞が伝えられると、胸をなでおろすとともに、我が事のようにうれしく、県立大学の一員として誇りに思いました。
本学の2年生以上の学生諸君は、入学式で本庶先生から祝辞をいただいており、創立30周年記念事業の講演を聴いた人もいるでしょう。平易な言葉で語られるにもかかわらず、いつも深い洞察に富む内容です。「教科書に書いてあることを信じてはいけない」という言葉はよく知られていますが、わかりきったと思われることにも、自分の頭で、納得がいくまで考えなさいというメッセージが込められています。
本庶先生は、時代を変える研究には6つの「C」が必要だと説いています。好奇心(Curiosity)、勇気(Courage)、挑戦(Challenge)、確信(Confidence)、集中(Concentration)、そして継続(Continuity)です。これからの時代を切り開く学生諸君には、どの分野に進もうとも、しっかりとこれら6つの「C」を身につけてもらいたいと願っています。

2016年11月10日
京都賞授賞式のパーティーにて
(転載禁止)

2018年10月18日


天災の文明学

9月8日は二十四節季の「白露」でした。日の入りが早くなり、朝夕、だいぶしのぎやすくなったように感じられます。初秋を彩った白や赤紫のムクゲの花も、そろそろ主役交代の時期のようです。
それにしてもこの夏は暑かったですね。日本中が記録的な猛暑に見舞われました。その上、次々と台風が発生し、各地に洪水と暴風の被害をもたらしました。追い打ちをかけるように、9月6日の未明には最大震度7を記録する「北海道胆振東部地震」が発生、大停電が起き、北海道全体が「ブラックアウト」の状態となりました。ほぼ同時に、関西空港と新千歳空港が機能停止に追い込まれましたが、インバウンドの増加によって観光立国を目指す日本にとって、なんとも心細い話です。
「天災は忘れた頃にやってくる」――物理学者で随筆の名手であった寺田寅彦の言葉です。弟子であった中谷(なかや)宇吉郎によって広く知られるようになった言葉ですが、今年、天災は忘れる暇もないうちに繰り返し、追い打ちをかけてやって来ました。
台風や地震など自然界の変動は人がいてもいなくても起きるもので、いわば生命体としての地球の呼吸、鼓動、身ぶるいのようなもの。人がいるからそれが「災害」となると考えるべきでしょう。土木技術に依存する工学的適応だけで対応しきれるものではありません。災害が起きにくい地形を居住地として選ぶ、安全な避難行動をとるなど、生態学的な適応が求められているのです。
地殻変動が盛んでモンスーン気候の日本列島にとって、「天災」である噴火、地滑り、洪水は、本来豊かな大地を育み、恵みをもたらしてくれるものでもありました。9月は防災月間です。自然との付き合い方を文明の観点から見直してはどうでしょうか。
結びに、この度の自然災害等により被災された方々に、心よりお見舞い申し上げますとともに、被災された皆さまの生活が、1日も早く復旧することをお祈り申し上げます。

お見舞い申し上げます

2018年9月12日


地球科学から見る働き方改革

  日本海は若き海なり夏薊(なつあざみ)  尾池和夫

去る7月11日、尾池理事長の「日本列島の自然〜地球科学から見る静岡〜」と題する特別講演が行われました。
地球科学者の立場から「2038年巨大地震説」について説明がありましたが、この講演で目を開かされたのは、日本に四季があり、緯度が低いにもかかわらず豪雪に見舞われるという気候の特徴が、地殻変動によって日本海が生まれたためだという指摘でした。微妙な季節の移ろいを、季語に託して十七文字で表現する俳句文学が成立した背景には、かくも壮大な地球の歴史があったのですね。
私がその通り、と心の中で拍手したのは、明治になって太陽太陰暦、いわゆる旧暦と不定時法を捨てたことを嘆かれたことです。確かに近代化にとって、年により閏月(うるうづき)がある旧暦や、毎日、1時間の長さが変わる不定時法は不便かもしれません。しかし月の満ち欠けを重んじる旧暦は、大潮の日がすぐわかるので釣り人には便利ですし、女性の間でルナ・カレンダーは人気があります。日の出と日の入りを基準とする不定時法は不便なようですが、人の生理には合っているように思えます。
すったもんだの末、6月の国会で一連の「働き方改革法案」が可決されました。国会ではもっぱら労働時間規制が問題とされたのですが、季節によって働き方を自由に変えることができるような改革こそ、季節の移ろいを楽しみ、自然と親しむ日本文化の伝統を重んじる施策なのではないでしょうか。

7月11日に開催された尾池理事長特別講演

2018年7月20日


ジェンダー・ギャップ

去る5月23日に「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」が公布・施行されました。国政、地方議会における選挙で、できる限り男女の候補者数が均等になることを目指して、政治分野における男女共同参画を推進しようというものです。
世界経済フォーラムの調査によると、2017年に日本の男女平等ランキングは144カ国中、114位と非常に低いものでした。さまざまな項目の中で一番低かったのが国会議員数。このたび公布された法律は、その解消を目指すものです。教育面では、読み書き能力や、初等・中等教育で男女間の不平等は見られませんが、高等教育、教授・専門職、経営管理職で日本の評価は低くなっています。
本学では日本科学技術振興財団(JST)の資金を得て、2年にわたり「女子中高生の理系進路支援選択支援プログラム 夏の体験実験 in 県大」に取り組んできました。中1から高1までを対象にしたものなので、成果が現れるのはこれからですが、「リケジョ」の入学を大いに期待しています。
男女雇用機会均等法の公布(1985年6月1日)にちなんで、6月は男女雇用機会均等月間として、さまざまな啓蒙活動が実施されています。進路の選択、雇用や賃金格差、労働と家庭生活のバランス、ハラスメントなど、ジェンダー・ギャップの解消に向けて、身近な問題から意識や制度の改革を進めましょう。

静岡市の花、タチアオイ(立葵)が沿道に美しいこの頃です。タチアオイの花言葉に「気高く威厳に満ちた美」があります。天に向かって花を咲かせていくその凜としたたたずまいに、古人は理想を目指す高い志を見たといいます。

  咲きのぼる梅雨の晴れ間の葵かな   夏目成美(江戸時代の俳人)

本格的な夏の訪れも、もうすぐですね。

タチアオイ

2018年6月14日


五月の風

ゴールデン・ウィークに群馬県の浅間高原を訪ねました。山の遅い春は桜、林檎、石楠花、山吹、水仙と賑やかな花の饗宴です。新緑の森を吹きわたる風に癒されて下界に戻りました。
ところが連休明けとともに、奄美で、続いて沖縄で梅雨入りです。静岡の空も、どんよりと雲が垂れ込めて鬱陶しい気分です。思わず「五月病」ということばを思い浮かべました。
体がだるく、なんとなく気分が滅入る、人と会うのが億劫(おっくう)だ、などの症状が感じられたら、それは五月病かもしれません。新しい環境で勉強や仕事を始めてひと月たった頃に、それまでの緊張が緩み、疲れがどっと吹き出すようです。梅雨寒の天気や、反対に夏のような日差しに交互に見舞われるのも、原因かもしれません。
そんな時は、健康支援センター相談室を利用してください。私にも経験がありますが、人に話すことで心の重荷が軽くなるものです。また自分に厳しくなりすぎず、真面目になりすぎないことも秘訣のように思います。
五月の風は薫風。晴れた日には芝生園地につづく緑の中を歩くのもよいかも知れません。季節の変わり目を乗り切って、元気に夏を迎えましょう。

北軽井沢から望む浅間山

春祭り風景

2018年5月10日


欅若葉の季節

あっという間に桜の季節も過ぎ、学長室の窓から見えるケヤキの梢が、若緑色に輝くようになりました。
入学式に臨んだ新入生諸君、大学生になった気分はいかがですか? いよいよ自分のやりたい勉強に熱中できると、これからはじまる授業に胸を躍らせていることと思います。
在校生諸君は、それぞれ本格的な専門教育に進み、研究室やゼミナールで研究を深めようと張り切っていることでしょう。来年、卒業を予定している諸君は、進路に迷ったり、「シューカツ」に忙しかったりしているかもしれません。
4月はこれからはじまる大学暦の出発点です。一旦立ち止まって大きく息を吸いましょう。そしてこれからの1年の過ごし方、大学での過ごし方について、しっかりと計画を立ててください。何か一つでもいいから、1年の目標を決めてはどうでしょうか。
私の目標は、できるだけ多くの学生諸君と話をすることです。学内で見かけたら気軽に声をかけてください。一緒に力を合わせて、よりよいキャンパスをつくっていきましょう。

けやき

2018年4月9日

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