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平成28年度学位記授与式を開催しました


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平成28年度 学部・短期大学部・大学院学位記授与式

2017年3月17日、静岡市駿河区のグランシップで、学部・大学院、短期大学部の合同学位記授与式を開催しました。
学部卒業生512名、短大部卒業生136名、大学院修士・博士前期課程修了生80名、大学院博士後期課程修了生13名、計741名が学位記を受け新たな道を歩みだしました。

学位記授与

卒業生代表答辞

学長式辞

 学長 鬼頭 宏

学長式辞

本日、静岡県立大学学部 512名、短期大学部 136名、大学院博士前期・後期 93名の諸君が、卒業及び修了しました。卒業、修了された学生諸君、まことにおめでとうございます。
あわせてこれまで学業を支えてくださった保護者、ご家族の皆様にも、お祝いを申し上げるとともに、ご苦労様でしたと感謝の気持ちをお伝えしたく思います。
本日は、知事をはじめとして、日頃、さまざまな側面から大学を支えてくださっている来賓の皆様にもご臨席賜りました。数々の厚いご支援に対して御礼申し上げます。本学教職員とともに、学業を成し遂げて羽ばたいていく卒業生諸君の門出を祝いたく存じます。

卒業される諸君、皆さんが学んできた期間は大きな社会変動の時代でした。2011年には東北大震災、昨年には熊本地震が起きたことは、まだ記憶に新しいことです。日本人口の減少が国勢調査によって確認されたのもこの間のことです。大学も社会の変動と無縁ではいられません。今後大学入学年齢の18歳人口が大きく減少していくという、大学、地域にとって困難な「2018年問題」が目の前に迫っています。
時代の要請に合わせて短期大学部の看護学科を閉鎖し、看護学部の校舎を新たに小鹿キャンパスに移しました。短期大学部にこども学科を設置しました。2014年から文部科学省補助金による「地(知)の拠点」、いわゆるCOC事業として、『ふじのくに「からだ・こころ・地域」の健康を担う人材育成拠点』と銘打った事業を開始しました。健康長寿を目指す県の人材育成を通して、地域貢献をすることを目指したのです。この事業に関連して、地元静岡について多面的な学んでもらいたいと、およそ20科目からなる「しずおか学」を選択必修科目として開講しています。皆さんの中にも、しずおか学の授業、ゼミの活動として、あるいはサークル活動として、県内各地でフィールドワークに参加した方も少なくないはずです。教職員、学生諸君が一丸になって地域活動に取り組んでいただいている姿に感謝しています。
私は2年前に学長に就任しましたが、地域における知の拠点として大学を発展させるべく、「地域をつくる、未来をつくる」をモットーとして掲げました。最近、人材のダムとして大学を位置づけて、若者を地域に定着させるのが大学の役割と期待する向きがあります。地方の大学にとって、確かにそれは重要な役割ではありますが、私は、卒業生を地域にとどめおくことだけが地域に果たすべき大学の役割とは考えていません。むしろ広く世界に通用する技を身につけて、世界で活躍できる人材を養成すべき、と考えています。そのような人材こそが、地域に刺激と活力を与えてくれることを期待しているからです。企業誘致や学生の地元就職を増やすだけでは十分ではありません。「未来をつくる」ことは、これまでになかった新しい価値を生み出すこと、ひいては新しい文明を創造することに他ならないからです。

卒業後は、就職に、進学に、あるいは自分で事業を立ち上げる人もいるでしょう。それぞれに希望を抱いて新しい道を歩み始めることでしょう。これから始まる新しい人生へ第一歩を踏み出すにあたって、はなむけとして、一つの言葉をみなさんに贈ります。“Think globally, act locally”です。
“Think globally, act locally”、すなわち「地球規模で考え、足元から行動せよ」ということです。グローバルな視野を持つことと、地域で活躍することは矛盾するものではない、むしろ地域を活性化させる上で、車の両輪と考えるべきです。いま課題になっている「地方創生」についても、地域の中だけで問題を解決することはできません。世界の動向を見極めて、そのなかに静岡という土地の魅力と地の利を最大限に発揮する工夫が求められています。外から静岡の地を見直すことが必要でしょう。
もともとこのことばは、地球環境問題を語る際に用いられた言葉ですが、私はその範囲をもっと拡大して解釈していいのではないかと考えていいます。第1の拡張は対象範囲の拡大です。皆さんがなにか考えようとするとき、あるいは仕事をしようとするときに、全体を俯瞰して、その役割を多面的に検討していただきたいということです。言い方を変えると、新人であっても、言われた仕事をただこなせばいいというのではなく、患者さん、お客さんの立場に立って考えること、また経営者の立場だったら何を求めるだろうかと考えてみてくださいということです。生意気と言われそうですが、常に仕事の全体を見渡していただきたいのです。

第2の拡張は、時間の拡張です。つまり今を考えるだけではなく、過去から未来を見通していただきたいということです。現在、世界は、歴史的な転換期にあります。日本を先頭にして、超高齢化が進み、人口も減少しはじめました。近代の経済成長を生み出してきた産業文明が成熟化し、いよいよ最終局面に差し掛かっているということです。そのなかでグローバル化への拒否反応がふつふつと沸き上がっています。
産業文明が成熟化しているということは、人口と経済の量的な拡大が困難になったということではありますが、絶望することはありません。近代化によって物質的に豊かになり、健康長寿が実現しつつある日本を始めとする国々には、これからもっと発展しなければならない途上国や、未来の世代(みなさんの子孫です)も豊かさを享受できるような 社会を建設するというチャレンジングな、大きな役割が待っているのです。それは経済の量的な拡大ではなく、むしろ生活の様々な側面の質の向上を目指すものでなくてはなりません。例えば経済協力開発機構(OECD)は、11の指標からなるBetter-life Indexを国別に発表していますが、そこにはGDPなどの経済指標だけでなく、健康や安全、社会的なつながりなど、これまではあまり重視されなかった指標が含まれています。どのような未来を築くかは、みなさんの肩にかかっています。「持続可能な開発」の実現を目指して、みなさんには未来社会のデザイナーとして、大きな力を発揮してもらわなくてはなりません。

現在、大学のある草薙キャンパスでは、写真展が開かれています。国連広報センターが企画した「わたしが見た持続可能な開発」学生フォトコンクールの入選作品展です。本学の国際関係学部教員、学生の活動も紹介されています。これにはみなさんの同級生である国際関係学部山川侑哉くんの作品が優秀作品として展示されていますので是非ご覧ください。本学が、地域貢献を軸として、国際的な活動につなげていることを理解していただけるものと思います。

卒業されるみなさんにはもう一つお知らせがあります。本学は、1987年4月に静岡薬科大学、静岡女子大学、静岡女子短期大学がひとつになって設立されたもので、今年は30周年の節目を迎えました。これまでに2万人を超える卒業生を輩出しました。
私は学生、教職員に加えて、卒業生も重要な大学の構成要素だと考えています。これまで同窓会が各学部に設置されていましたが、これを全学的な組織に拡充したいと考えました。みなさんが卒業してから後も、研究、調査、仕事の面で、大学を利用していただきたいのです。あるいは同窓生同士のつながりを深めていただきたいからです。こうした思いは、同窓会の方からも提案がありました。そこで大学ホームページに、各同窓会のホームページへとリンクを張ってもらいました。また卒業生向けに、Facebookを開設しました。「静岡県立大学のティールーム」です。卒業生の結束を固めることによって、たがいに支えあっていただきたいと考えています。

40年後、みなさんは一番若い人でも60歳になります。つまり未来をつくるのはみなさん自身なのです。大きな夢を持って、それを実現すべく、努力してください。大学の校章に描かれているのは、霊峰富士と、これから羽ばたこうとする若鳥です。みなさん、高い目標に向かって、力強く羽ばたいて下さい。みなさんの未来を祝福いたします。

理事長あいさつ

静岡県公立大学法人 理事長 本庶 佑

理事長あいさつ

平成28年度静岡県立大学 学部・短期大学部・大学院の学位記授与式が挙行されるにあたり、静岡県公立大学法人を代表して、一言お祝いを申し上げます。

本日は、川勝平太 静岡県知事、 鈴木洋佑 静岡県議会議長をはじめ多くのご来賓の皆様にご出席をいただき、厚く御礼申し上げます。

本日、ここにめでたく本学を卒業される皆さんに、心からお祝い申し上げます。また、皆さんが学業に専念できるよう、しっかりとサポートしてくださったご家族の皆様におかれましても、今日この日は、喜びと安堵が混じり合い感慨深いものであろうと、拝察申し上げます。

しかし、喜びの一方で内心は不安だという人も多いでしょう。それもそのはずです。みなさんは今、大変流動的で方向性が不透明な世界に社会人として旅立とうとしております。世界が流動的なのは政治的なことだけではありません。根底には経済的な問題があります。経済学は川勝平太知事の専門領域であり、私があえて口を挟む事柄ではないかもしれません。素人の感想ですが、ながらく世界は資本主義という一種の拡張路線の下で、やがてすべての人が豊かになるという夢を追ってまいりました。それを信じさせる未開の領域が長く存在いたしました。ヨーロッパ諸国による、いわゆる新大陸の発見、そこから手に入れた多くの金銀、また同様なことは東南アジアの綿や香料の貿易においても展開されました。この時点の世界経済の動きについては、川勝平太知事の若い頃の素晴らしい研究が有名です。さらには、産業革命に続き技術革新によって生まれた新しい製品、例えば自家用車などが人々の欲望を掻き立て、一層の技術革新を促すことによって資本主義はいつまでも続くと思われていたのです。しかし、前世紀の末ごろから多くの人々が指摘しだしたように、この地球上にはもはやフロンティアは存在せず、新しい技術革新による経済規模の拡張は困難で、GDPで計測されるような持続的経済の成長に黄信号が灯りました。資本主義で全員が幸せになるというシナリオに、米国や日本でも見られる国内格差の急速な拡大により、多くの人が疑いの目を向けるようになりました。資本主義的な仕組みが行き詰まったのではないかという多くの考察も提唱されております。このような閉塞感の中で、各国の政治も大きく変動しつつあります。

経済学の専門家に聞いても、およそ半年後の株価についても、いわんや1年後の世界経済の正確な情勢などを予測することは大変困難なようです。多くの経済学の研究は過去のデータを基に、何が原因であったかを分析して未来予測に役立てようとして来ました。いかにAIを使ったとしても、瞬間的な株の売買はできるにしても長期的な経済の見通しを正確に当てることはきわめて困難であります。その理由の一つは、経済の動きが人々の「きまぐれ」に左右されるところが多いからではないかと思います。人の心理をコンピューターで予測することは非常に困難です。経済の成長をGDPだけで測ることは不十分だということは、多くの人が認めております。経済の発展とは人の幸福度を含めて計測すべきであるというOECDの提案がなされてから久しい時間が経っております。しかし、どのようにして人の幸福度を測るのかについては、きわめて困難な問題があります。幸福感を得ることは生物の中心的課題であります。生物の個体は、かならず死を運命づけられておりますが、生物は世代をこえて一つながりのDNAの糸で結ばれています。そして、この長い年月の進化の過程で、生きることの基本要素である、子孫を残すこと、自分の体を維持すること、外界との競争に打ち勝つこと、これらの欲望を充足することが、幸福感をもたらすように進化した生物が生き残ったのです。生きること自身が幸福感と密接に関わっております。しかし、欲望を満たすだけでは幸福にはなりません。幸福感には、欲望を満たすことのみならず不安感がないことが大切です。幸福感には、大きな幅があります。また相対的なものであり、人の体験によっても大きくその度合いが動きます。幸福感の中身は、時代とともに変わります。そういう意味で、経済学は生命科学への理解を含めた新しい学問になることが求められているのかもしれません。

これからの世界では、いわゆるグローバル経済の流れの中で日本が世界の中で孤立して生存することは不可能であります。日本の企業は、世界を相手に様々な活動をしております。今日のような歴史的に困難な曲がり角になりそうな時期において、我々は何に指針を求めるべきでしょうか。やはり最も頼りになるのは、過去の人の歴史です。我が国の歴史の中で、きわめて特徴的なのはやはり、相対的に戦争の頻度が少なかったことでありましょう。たとえば、静岡にゆかりの深い徳川幕府260年の間に国内外での大規模な戦闘はほとんどありませんでした。一方でヨーロッパ諸国でも、お隣の中国においても、この間多くの戦争が繰り返されてきました。このような歴史を見ると、できるだけ争いを避け、相手を認め合う「寛容と和」がこの国の風土として育っていることに気付かされます。このことは多分、良い点であり欠点でありましょう。
日本企業による外国企業の買収では、しばしば何千億円という買収にも関わらず、その結果が成功したといわれる例は限られた数であります。最近の東芝の経営危機も失敗例です。日本人が当たり前と考える「寛容と和」が、必ずしも世界では当たり前のことではないのです。黙っていても分かるということもありません。日本の企業の多くの失敗は、企業は買収しても、中にいる人を掌握できずにマネージメントができなかったというケースが多々あります。人類はアフリカに生まれ、その後各地に分散し多様化してまいりました。この多様な人種や文化を総合的に理解して、限られた地球の上でどのようにすれば共存共栄の道が開けるかどうか、これが今日の大きな課題でありましょう。グローバリズムに基く完全自由貿易をめぐっては多くの議論があります。 国家経済としての国民の利益と世界的経済での地球規模での人類の利益をどうすれば一致できるのでしょうか。「寛容と和」を当たり前としてきた日本が、地球号の中でどのような位置を占めていくのか、その運命は諸君の肩に掛かっております。これから、この先行き不透明な世界に船出する諸君は是非とも歴史を深く学び、先人の知恵を吸収するとともに、新しい人類の課題にどのような貢献ができるのかをぜひ真剣に考えていただきたいと思います。

結びに、卒業生の諸君の門出を祝し、ご来賓やご家族、静岡県民の皆様が、これまで静岡県立大学に寄せてくださったご支援・ご協力に深く感謝を申し上げ、挨拶とさせて頂きます。

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