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平成29年度学位記授与式を開催しました


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平成29年度 学部・短期大学部・大学院学位記授与式

3月20日、静岡市駿河区のグランシップで、学部・大学院、短期大学部の合同学位記授与式を開催しました。
学部卒業生606名、短大部卒業生134名、大学院修士・博士前期課程修了生97名、大学院博士後期課程修了生18名、計855名が学位記を受け新たな道を歩みだしました。

式典の様子

卒業生代表答辞

学長式辞

学長 鬼頭 宏

鬼頭学長

本日、静岡県立大学、静岡県立大学短期大学部の卒業式と、同大学院学位授与式を迎えました。晴れて卒業証書、学位記を授与される皆さん、誠におめでとうございます。
保証人の皆様、これまでお育てなさったご子弟が独り立ちするこの日を迎えられて、お喜びもひとしおと、お祝い申し上げます。
また、川勝県知事様、杉山県議会議長様を始めとするご来賓の皆々様におかれましては、年度末のお忙しい中、若者の学舎からの旅立ちに立ち会ってお祝い下さり、誠に光栄に存じますとともに、日頃、本学の教育研究を支えてくださって頂いておりますことに対して、教職員を代表して厚く御礼申し上げます。

さて、卒業生、修了生諸君、皆さんが広い世界に羽ばたいていくこの日にあたり、本学で学んだ意味を改めて振り返っていただきたいと思います。皆さんはそれぞれに、人生の設計図を描いて本学に進み、目標を達成されたことでしょう。そしてそれぞれに、企業、団体、行政などに職を得、あるいは進学と、希望に満ちて持てる力を発揮しようと張り切っていることと思います。
私は人口の歴史的研究を行ってきました。そこから見えてきたことについて、この場を借りてみなさんへのはなむけとしてお伝えしたいと思います。
それは世界がいろいろな種類の波からなっているのではないかということです。たとえば経済です。皆さんは幸いに経済の好循環が起きている時期に卒業を迎えました。求職、つまり仕事を求める人よりも、労働力を求める求人数の方が多く、就職に有利な環境にありました。しかし油断してはいけません。経済活動にはいくつもの波があることが知られています。数年の景気循環から、人口のように100年を単位とする循環まで様々な波が提唱されています。
私が大学を卒業したのは1969年でした。高度経済成長の真っ只中です。しかしその4年後、1973年に第1次石油危機が発生しました。74年の経済成長率は戦後初めて、マイナス成長になり、その後、安定成長と呼ばれる時代へと大きく変わりました。
80年代後半に始まったバブル経済も同様です。内定を決めた学生を引きとめようと、企業は学生の囲い込みを行い、社会問題になりました。しかし1991年にバブル経済が崩壊すると、1993年から10年以上にわたって、「就職氷河期」と呼ばれる就職難の時代が始まりました。この時代には大手の金融機関の破綻が起き、銀行の再編成が行われました。

「禍福は糾える縄の如し」と言いますが、長い人生には良い時もあれば、自分の力では変えようのない悪い時もある、ということです。皆さんは恵まれた経済回復期に就職されますが、今後、景気後退によってどのような状況に追い込まれるかわかりません。
今予想されていることは、産業革命に匹敵する大きな社会変革が起きつつあるということです。「インダストリー 4」とか「ソサエティー 5」とか呼ばれる社会へ到来が予想されています。情報通信技術(ICT)を駆使して、あらゆるものをインターネットで結び(IoT)、ロボット、人工知能(AI)に支えられた社会の到来です。
こうした変化によって、今までなかったような職業が生まれ、あるいは反対に消えていく職業があると予想されています。皆さんには、どのような変化にも適応してたくましく生きていただきたい。いえ、むしろ積極的に、これから起きる社会変化を担っていただききたい。2050年いくつになりますか?50代の責任世代です。未来を作る主人公であることを自覚して大いに活躍してください。

私は3年前に就任した時、「地域を創る、未来を創る」をモットーとして掲げました。これは本学の理念のひとつ「地域社会と協働する、広く県民に開かれた大学を目指します」と、目標の「県民の負託に応え、県政や産業界と連携を図りながら、卓越した教育と高い学術性を備えた研究による成果を地域に還元します」を短い言葉で表したものです。
本学では平成26年度から、文部科学省「地(知)の拠点整備事業」いわゆるCOC事業に取り組んできました。『ふじのくに「からだ・こころ・地域」の健康を担う人材育成拠点』のプログラムです。この事業では、「地域とともに、地域のために」を掲げ、自治体と連携して、全学的に地域を志向した教育、研究、地域貢献を進めてきました。教育面ではおよそ20科目に及ぶ「しずおか学」を設けて、学生諸君が静岡県について広く、深く学ぶことのできる機会を提供しています。
そこでは知識だけではなく、実践的なコミュニティ・ワーク力を身につけてもらうことを目指しました。コミュニティ・ワーク力とは、地域問題を解決するために、地域とともに世代、分野、職種を超えて「チーム活動」を牽引する能力を言います。COC事業が始まってから4年経ちました。そして今年、初めて、コミュニティ・ワーク力を身につけたと認定された学生に対して「コミュニティ・フェロー」の称号を授与することができました。短期大学部、大学、大学院の学生178名です。
またその中から特筆すべき活動を担った学生を特別表彰することになりました。異例かとは思いますが、初めてのことでもあり、この場を借りて名前のみ紹介させていただきます。薬学部6年筒井優介くん、食品栄養科学部4年瀬尾真紀子さん、国際関係学部4年澤野華世子さん、国際関係学部4年松井杏美さん、経営情報学部4年小泉蓮くん、看護学部4年松田佳子さん、食品栄養科学部3年村松可菜さんです。
特別表彰は、卒業する最終学年の学生を原則にしていますが、最後に名前をかかげた村松さんについては、竹林再生プロジェクトを行う環境サークルCO-COの代表として林野庁長官賞を授与されたことを評価して表彰するものです。
この7名に限らず、卒業する皆さんはこれ、講義で得た知識と、ゼミ、サークルなどの経験から、地域活動を牽引する力を身につけたことと思います。本学の広報誌『はばたき』136号を是非ご覧になってください。この号では地域で活躍するゼミ生やゼミ活動を紹介しています。本学は、ある調査会社の大学ブランド・イメージ調査で、東海・北陸地域において地域貢献度第1位を獲得しましたが、学生、教員の日頃の活動の賜物と感謝しています。
すべての卒業生諸君にお願いです。卒業後も、それぞれの場所で、「地域のために、地域とともに」を念頭におき、組織を牽引する役割を担ってください。コミュニティとつながりをもって社会参加することは皆さん自身の健康長寿にもつながることです。

明日から静岡県立大学は卒業生の皆さんにとって母校となります。いつでも門を開いて待っています。仕事や調査・研究の面で相談事があれば、大いに利用してください。それぞれの学部には同窓会組織があります。また昨年は初めて全学連合同窓会が開催されました。卒業生向けに、Facebookも開設しました。「静岡県立大学卒業生のティールーム」です。昨年、本学は創立30年を迎えましたが、これまでに約2万人の卒業生を送り出しました。卒業生が互いに結びつけば大きな力になります。卒業生の結束を固めることによって、たがいに支えあっていただきたいと考えています。

未来の地域を創るのは皆さんです。オレンジ色の校章に描かれているのは霊峰富士とこれから羽ばたこうとする若鳥です。富士のように高い目標に向かって、力強く羽ばたいて下さい。大きな夢を持って、それを実現すべく、努力してください。みなさんの巣立ちを祝福し、輝かしい未来を祈念いたします。



(2018年3月20日)

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