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第10回 Stay Homeにおける暴力ードメスティック・バイオレンス(DV)は密室で起こっているー


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藤田 景子
(看護学部 准教授)

該当目標

ページ内目次


Webエッセイ

「ドメスティック・バイオレンス」や「DV」という言葉を聞いたことはありますか? 結婚している相手や、おつきあいしている相手との関係で、恐いな、悲しいな、辛いな、きゅうくつだなと感じたことはありませんか?もし、そんな気持ちを感じていたら、それはDVを受けているサインかもしれません。

1年間に警察に寄せられたDVの相談件数は、平成30年は7万7,482件でした。前年度より5,027件増加しています。内閣府の調査によると、100人中約30人が、配偶者もしくは恋人から、身体的暴行、心理的攻撃、経済的圧迫、性的強要のいずれかの暴力受けています。被害経験が「あった」と回答した女性は31.3%、男性が19.1%でした。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言で、多くの人がSTAY HOMEをしていました。感染拡大を防ぐためには、家にいることは大切なことです。しかし、その状況下で、DVや子ども虐待が増えています。なぜならば、DVや子ども虐待は家という密室で起こるからです。しかも、家族以外の人にはわかりづらいのがこの問題の難しさでもあります。

ちょっと考えてみてください
◆もし、あなたのお母さんが、お父さんからDVを受けていたらどう思いますか?
◆もし、あなたの友人がDVを受けていたらどうしますか?
◆もし、あなたの娘さんが、夫もしくはお付き合いしている相手からDVを受けていたら、あなたはどうしますか?

ひょっとしたらあなたの目の前の友達や周りの人がDVを受けているかもしれません。

1. ドメスティック・バイオレンス(DV)とは

「ドメスティック・バイオレンス」は、略して「DV」と呼ばれています。DVとは、「親密な関係にあるもの、もしくは元配偶者や元恋人などから振るわれる暴力」のことです。DVが起こるのは結婚しているカップルでのみではありません。結婚していないカップルの間でも多数起こっています。年齢や婚姻関係を問わず交際中にも暴力は起こっており、このことを「デートDV」と呼んでいます。
DVとは、単に暴力行為だけを指しているのではありません。夫婦や恋人といった親密な関係において、優位に立っている側が「力(暴力)」を用いて、もう一方の弱い立場の人を「支配(コントロール)」することを指しています。これをパワーアンドコントロールの関係ともいいます。被害者は、女性や男性どちらもなりえます。また、同性のカップルにおいてもDVは起こっています。
暴力の種類は多岐に渡っています。
暴力の種類 具体的な内容
身体的暴力 殴る、ける、かみつく、物をなげつける、突き飛ばす、監禁する、首を絞める、等の身体に対する暴行
精神的暴力 言葉の暴力、大事な物を壊す、お前は馬鹿だと見下す、脅迫、サイバー暴力、子どもを使う暴力等の恐怖を感じるような言動や態度
性的暴力 嫌がっているのに性的な行為を強要する、避妊に協力しない、中絶を認めない等の性的な行為に関連した暴力
支配的行動 交友関係や行先、電話・メールなどを細かく監視する、友人等との付き合いを制限する、外出をさせない、等の社会的な関係性から孤立させる行為や、生活をしていく上で欠かせない経済への打撃を与える

2. DVが起きる原因

なぜDVが起きるのでしょうか?原因として3つのことが考えられています。

◆暴力について軽く考える意識
  • 相手が悪かったら、多少の暴力は許される
  • 愛情があるなら暴力を使って相手を束縛するのは仕方がない
というように、暴力について軽く考えている人がいます。この考えが、安易にDVをすることに繋がっています。

◆女らしさ・男らしさの思い込み
  • 女の子は、おしとやかが良い、家事が得意な方が良い
  • 男の子は、泣いてはいけない、頼もしい振る舞いが良い
といった考えを持っている人がいます。男らしさを勘違いして、力を見せつけるために暴力をふるうというケースがあります。女性はおしとやかな方が良いという思い込みから、暴力を受け入れてしまい、DVにつながるケースもあります。

◆家の中で力による支配を学んでしまっている
家の中でお父さんがお母さんに暴力をふるっているところを、子どもが見て大きくなったとします。そうすると、その子どもは暴力で人を支配してもいいという間違った思い込みをしてしまうことがあります。
このような意識や思い込みが、DVをしたり容認してしまうことに繋がっています。

3. あなたはドメスティック・バイオレンス(DV)をしていませんか?もしくは、DVを受けていませんか?

チェックリストでチェックしてみましょう。

チェックリスト

4. なぜDVを受けても別れないの?

“暴力を振るわれたら、すぐにそんな相手とは別れればいいんじゃないの?”と思う人もいるかもしれません。しかし、実際には、DV被害を受けながら10年、20年、30年と関係性を続けている人は少なくありません。なぜ被害者は、加害者の元を離れることが難しいのでしょうか。

加害者の行動と被害者の心理
加害者は、
  • 「殴る・蹴る」など「辛い・恐い」といったネガティブな感情にさせる行為
  • 謝ったりプレゼントを用意したりといったポジティブな感情にさせる行為
を被害者に対して交互に行います。被害者の感情の振り幅を大きくすることで、加害者は被害者をマインドコントロール状態へ持っていきます。
被害者は、このような状態において
  • “加害者は一時の迷いで暴力を振るったのだ”
  • “こんなに優しい人が暴力を振るうはずがない” 
と考えるようになります。
さらに、
→加害者から「お前が悪いから」と言われながら暴力を振るわれることで、被害者は“暴力を振るわれる私にも非がある”と思い込まされていく。
→被害者は、「私が変わればあの人も変わるはずだ」と加害者の暴力行動が変わることを期待し、暴力を受け続けてしまう。
→しかし、加害者の暴力行動は無くならず、むしろエスカレートする。
そのため被害者は気力も体力もどんどん奪われ、DVの関係から逃げられないという負のスパイラルに入り込んでしまうのです。

5. DVにあっていたらどうしたらいいの?

1)もしあなたがDVを受けていたら
暴力はふるう方に責任があります。あなたのせいではありません。交際は、どちらかが終えたいと望めば別れていいのです。もし、DVが恐くて別れることが難しいのであれば、周囲に助けを求めてください。具体的には、DVについて相談できる機関に相談しましょう。下に相談窓口が書いてあります。DVから一人で逃げることは簡単ではありません。周囲に協力を求めることは恥ずかしいことではないのです。

2)もしあなたがDVをしていたら
相手を思い通りにしても、おたがい幸せにはなれません。嫉妬を理由に束縛や暴力をしてはいけません。暴力以外の解決策もあるので、相談機関に相談してください。

3)もし友達がDVを受けていたら
友達の話をじっくり聞いてあげてください。話を聞いていて、もしかして身体的、精神的暴力を受けているかもしれないとあなたが感じたのであれば、“それはDVかもしれない”と相手に伝えてあげてください。そして、相談先の情報を教えてあげてください。あなたの知識や一言が、その友達を助けるきっかけになることがあります。

4)もしあなたが医療機関にお勤めだったら
医療機関で受診している方の中にもDVを受けている方がいらっしゃるかもしれません。DVを受け、頭痛や気分の落ち込み等々、様々な体の不調をきたしている人がいます。不自然なあざがあったり、表情が乏しかったり、元気がなさそうだったり…、そういう人がいたら、もしかしたらDVを受けているのかもしれません。ちょっと声をかけ、必要時には相談機関をお伝えしてあげてください。

6. さいごに

あなたはDVを受けて良いような人ではありません。この世にDVや暴力を受けてよい人なんて一人もいないのです。しかし、DVは身近にあります。DV被害がひどくなるとあなたの心や体に大きな負担がかかり、様々な心身の症状が出て辛くなってしまいます。あなたを助けたいと思っている人は必ずいます。ほんのちょっとの勇気を出して、信用できる友人や、相談機関に電話をしてみてください。
私は、以前、病院で助産師として働いていました。そこで、誰も信じられず孤立していたあるDV被害者に出会いました。その人は、病院で、ある助産師と出会い、その助産師の何気ない声掛けから、人に相談することができたそうです。その助産師との出会いは、自分らしさを失っていたDV被害者の人生を変えるターニングポイントになっていました。
ほんのちょっとのきっかけから被害者の人生が変わることがあります。そんなケースを私は過去にたくさんみてきました。だから、あなたには、ほんのちょっとの勇気を持って、まずは相談をしてみてほしいのです。もしあなたの周りにDV被害を受けている人がいたら、ほんのちょっとの勇気をもって、まずは声をかけてあげてください。その声かけが自分自身や周りの人の人生を変える一歩になるかもしれません。

7. DV相談機関

1)静岡県
(1)静岡県女性相談センター (配偶者暴力相談支援センター)
  電話相談 TEL:054-286-9217 9:00~20:00(年末年始・祝日を除く)

(2)静岡県男女共同参画センター あざれあ相談
  電話相談 
  賀茂地区TEL:0558-23-7879
   東部地区TEL:055-925-7879
   中部地区TEL:054-272-7879
   西部地区TEL:053-456-7879
  月・火・木・金9:00~16:00、水14:00~20:00、第2土曜13:00~18:00
 (年末年始・祝日を除く)

(3)女性の悩み相談窓口(電話相談)
静岡市女性会館相談室 (要予約)TEL:054-248-1234
火~土(年末年始・祝日を除く)
あいホール相談室 TEL:053-412-0352
時間等、問い合わせTEL:053-412-0351
富士宮市男女共同参画センター TEL:0544-22-0343
火~土9:00~16:00 (年末年始・祝日を除く)
富士市女性のための相談室 TEL:0545-64-8997
月~金9:00~16:00(12:00~13:00を除く)
(年末年始・祝日を除く)
磐田市女性相談室 TEL:0538-37-4844
月~金9:00~17:00 (年末年始・祝日を除く)
焼津市女性相談室 相談(要予約) TEL:054-626-1178
予約受付時間8:30~17:00
掛川市女性相談室 TEL:0537-21-1119
火10:00~12:00

(4)男性の悩み相談窓口(電話相談)
静岡県男女共同参画センター
あざれあ 電話男性相談
TEL:054-272-7880
第1・第3土曜13:00~17:00(休館日を除く)
静岡市男性電話相談
メンズほっとライン静岡
TEL:054-274-0105
第2・第4火曜19:00~21:00
あいホール相談室 TEL:053-412-0352
毎週木曜日、毎月第2・4日曜日 18:00~20:00
2)全国
(1)DV相談ナビ:TEL:0570-055210 全国どこからでも、近くの相談機関につながる。

(2)内閣府(外部サイトへリンク)
 相談機関一覧
 http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/index.html
 配偶者暴力相談支援センターの機能を果たす施設一覧
 http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/pdf/center.pdf
 


<本稿に関連する著作>
藤田景子(2014年)「ドメスティック・バイオレンス被害女性の周産期および育児期を通じたDV被害に対する認識の回復過程」『日本看護科学学会誌』34巻, pp198-207.


<著者紹介>
藤田 景子(ふじた・けいこ)
看護学博士。現在、静岡県立大学看護学部准教授。ドメスティック・バイオレンス被害者支援、性暴力被害者支援、ウィメンズヘルス、子育て支援、助産システム・政策に関する調査研究を行う。日本助産学会 学術賞、日本看護科学学会 論文奨励賞などを受賞。
主要著書に『フォレンジック看護-性暴力被害者支援の基本から実践まで』(2016年、医歯薬出版株式会社)、『大人になる前に知る性のこと-他人を尊重し、自分を大切にする』(2019年、ペリカン社)などがある。
(2020年7月28日公開)




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