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薬草園歳時記(6)8月 烏瓜(からすうり)


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烏瓜の花と実(薬草園提供)

 烏瓜(からすうり)(実)は晩秋の季語であり、王瓜、王章などの季語もある。

 烏瓜の花が開花する様子を観察するのが好きである。夕方、17時頃、つぼみがある。18時頃、少し開く。18時半、もこもこした感じに膨れる。18時45分、拡がってくる。19時、もじゃもじゃになる。19時50分、開花である。翌朝には花はしぼんでいる。
 4月から6月ごろ、塊根から発芽するか、あるいは実生する。花期は夏で、8月ごろの日没後から開花するのがおもしろくて観察したくなる。
 雄花の花芽は、1か所から複数つく。数日の間、連続して開花するのが楽しい。雌花の花芽は、ほとんど単独でつく。花弁は白色がほとんどである。普通は5弁で、たまに4弁や6弁のものもある。後部に反り返り、縁が白く紐状になって、まるでレース編みのハンカチのように伸びる。直径10cmにもなると見事である。翌朝、日の出前に花は萎む。
 烏瓜は、同じ時期に咲くワスレグサ(ススキノキ)科のユウスゲなどと並び、夏の夕方から翌日の午前中まで開花する花の代表として紹介されることが多い。しかし、ユウスゲが曇りの日や午後に、気温が下がって早い時から咲き始めることがあるのに対し、烏瓜は天候による気温や光量の変化に影響を受けず、暗くなってから開花する。翌朝には明るくなって細かく裂けた花弁を丸め込んでしぼみ、雄花はその日の日中に萼筒(ガクトウ)の基部から脱落する。雌花の萼筒は脱落せず、子房についたまま枯れ残って俵型の果実が実る。
 花が目立つのには理由がある。烏瓜の場合には、受粉のため夜行性の蛾を引き寄せるためであろう。大型の雀蛾を呼ぶ。花筒が長く、長い口吻(口吻)を持った蛾でないと、花の奥の蜜に届かない。

 雌の株にのみ果実ができる。果実は直径5ないし7cmの卵型である。楕円形や丸いものなどがある。縦に縞模様のある緑色で、10月以後に熟して、オレンジ色や朱色になる。蔓が枯れると実のみがぶら下がっている。中には蟷螂(かまきり)の頭に似た黒褐色の種子が入っている。また、種子の形から、打ち出の小槌に喩えられ、財布に入れて携帯すると縁起がいいとされる。
 人間の食用には適さないが、鳥が果肉を摂食し、種子を飲み込んで運ぶ。特にカラスの好物という観察例はないという。植物図鑑には「樹上に長く果実が赤く残るのをカラスが残したのであろうとみたてたか」とある。同じウリ科のスズメウリよりカラスウリの果実の方が大きいので大小を比較するためにカラスウリと名付けたのだろうとも推測できる。
 烏瓜の原産地は、中国と日本で、日本の本州、四国、九州に自生している。草木にからみついて伸びる。葉はハート型で、表面が毛で覆われている。雌雄異株であり、一つの株には、雄か雌か、どちらかが付く。
手紙を意味する玉章(たまずさ)の別名を持っている。ツチウリ、キツネノマクラ、ヤマウリともいう。

暮れかけて遠嶺くつきり烏瓜   加藤秋邨
武家屋敷から電線へ烏瓜   飴山 實
殉教の碑に垂れさがり烏瓜   有馬朗人

 中国では医薬原料として活用され、果実、種子、塊根ともに生薬として利用されている。
 日本の漢方薬では烏瓜と同属の黄烏瓜(キカラスウリ)の根を止渇、潤肺を目的に使う。生薬名を「栝楼根」(カロコン)といい、日本薬局方に収載される生薬である。

 根から採った澱粉は「天瓜粉」「天花粉」(テンカフン)といい、現在のベビーパウダーの役割として、古くから汗疹を予防するために使われてきた。
 民間療法では、根を通経、利尿剤に、種子を鎮咳剤にも用いる。若い実は漬物にする。根を煎じて、ぜんそく薬にする。果汁を手足などのひびに塗ったりする民間療法が、長野県阿智、喬木村などに残っている。インテリアなどの用途に栽培もされる。烏瓜の雌雄両株を出荷する農園もある。

 烏瓜の花言葉は、「誠実」、「よき便り」、「男ぎらい」である。夜を待つ特徴が「誠実」という花言葉の由来だという。日の出前に太陽をさけるようにしぼむことが男ぎらいの由来だという。また、よき便りという花言葉は、種子の形が由来で、結び文に似ているとされている。別名の玉章(たまづさ)の由来である。

急行の止まらぬ駅の烏瓜   和夫
伊豆石の塀をはみ出し烏瓜

 このエッセイについて、薬学部附属薬草園の専門員、山本羊一さんに多くの貴重なご意見をいただいた。記して謝意を表する。


薬学部の薬草園サイトはこちらからご覧ください。
https://w3pharm.u-shizuoka-ken.ac.jp/~yakusou/Botany_home.htm

キャンパスの植物は、食品栄養科学部の下記のサイトでもお楽しみいただけます。
https://dfns.u-shizuoka-ken.ac.jp/four_seasons/

下記は、大学外のサイトです。
静岡新聞「まんが静岡のDNA」の記事でも薬草園を紹介しました。
https://www.at-s.com/news/article/featured/culture_life/kenritsudai_column/742410.html?lbl=849

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