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薬草園歳時記(2)5月(1) バナナ


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薬草園のバナナ

 バナナ(甘蕉、実芭蕉)は夏の季語である。バショウ科バショウ属のうち、果実を食用とする品種群の総称で、その果実のことをバナナという。いくつかの原種から育種された多年性植物で、熱帯から亜熱帯の地域で栽培されるトロピカルフルーツである。種によっては熟すまでは毒を持つものもあるという。
古くは芭蕉と呼ばれ、食するものは実芭蕉とも呼ばれた。漢名は香蕉、葉の繊維を主に利用するイトバショウは同属異種である。バナナの原産地は東南アジア、熱帯アジアであり、栽培の歴史はパプアニューギニアから始まったと言われている。
 バナナは草本である。園芸学上は野菜に分類される。高く伸びる部分は偽茎(仮茎)と呼ばれる。これは葉鞘が重なりあってできている。実際に姿を見上げてみると樹木のように木質化した樹皮をもたない訳で、「バナナの木」ではなく「バナナの草」なのである。幹茎は地下で横に這う。バナナの花(花序)は偽茎の先端から出て、ぶら下がる。大きな花弁に見えるのが苞葉で、果指の部分が本当の花である。果指1つが1本のバナナに成長し、果房が房になる。開花は1本の偽茎に1回のみで、開花後は株元から吸芽を出して枯れる。品種にもよるが、果実は最初下に向って成長し、後に上に向かうので湾曲する。
 熱帯からの輸入のバナナは、害虫の侵入を防ぐため、青いバナナしか通関できない。日本に入ってから温度調整などによって追熟され、黄色くなってから出荷される。沖縄、奄美大島、石垣島で「島バナナ」が生産されているが、これらは7月から9月が旬で、小粒で甘い物が多い。

朝市のバナナの山や雨季終る  高野素十

 バナナ(ばなな)は、三夏の季語である。
世代によって異なる評価がバナナには与えられる。かつては夢の高級フルーツであった。バナナが日本へやってきた1903年(明治36年)、台湾の基隆(キールン)港から神戸港に向けて、7籠(約70kg)が積み込まれたという。輸送中に蒸れた「籠熟れバナナ」や、一部不良品などは早く換金する必要から、露天商の口上で売りさばかれ、「バナナの叩き売り」が始まった。JR門司港駅前(旧門司三井倶楽部側)に「バナナの叩き売り発祥の地」という記念碑が建つ。門司港バナナの叩き売り連合会によってこれが継承され、「門司港バナナ塾」が毎年開講される。
 私の少年時代、GHQ(連合国軍総司令部)からバナナが闇市に流れて高級果実となった。私が大学を卒業した頃、輸入が自由化されて、栄養価の高い身近な果物となり、高知市内で買って、同級生の家に行くたびに持参した。

川を見るバナナの皮は手より落ち  高浜虚子
滝の神バナナ二本を供へたり  右城暮石

 インドネシアのジャカルタからバンドンへ初めて旅したときの道ばたに、たくさんの果物に交じって、山と積まれたバナナが無造作に売られている光景が愉しかった。何度かインドネシアへ行ったが、熱帯でいつもバナナが熟れているかと思っていたが、熱帯でも果物の季節感がしっかりあることがわかってきた。ときどき歳時記の議論の中で、バナナは一年中あるので季節感がないという人もいるが、けっしてそんなことはない。バナナはやはり三夏の季語である。
 ついでながらバナナのできる草である芭蕉の季語は各季節に登場し、「玉巻く芭蕉」「芭蕉の花」は初夏、「芭蕉」は初秋、「破芭蕉」は晩秋、「枯芭蕉」は三冬の季語である。

太陽は北にあるなりバナナ売る  和夫
熔岩の塀より道へ破芭蕉


 このエッセイについて、薬学部附属薬草園の専門員、山本羊一さんに多くの貴重なご意見をいただいた。記して謝意を表する。


薬学部の薬草園サイトはこちらからご覧ください。
https://w3pharm.u-shizuoka-ken.ac.jp/~yakusou/Botany_home.htm

キャンパスの植物は、食品栄養科学部の下記のサイトでもお楽しみいただけます。
https://dfns.u-shizuoka-ken.ac.jp/four_seasons/

下記は、大学外のサイトです。
静岡新聞「まんが静岡のDNA」の記事でも薬草園を紹介しました。
https://www.at-s.com/news/article/featured/culture_life/kenritsudai_column/742410.html?lbl=849

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