静岡県立大学学部・短期大学部・大学院学位記授与式
3月17日、静岡市駿河区のグランシップで、学部・大学院、短期大学部の合同学位記授与式を開催しました。今年度は、学生1人につき1名の保護者の出席が認められたため、4年ぶりに親子連れで来場する姿も見られました。
式典では、学部 636名、短大部 108名、大学院博士前期課程・修士課程 108名、大学院博士後期課程・博士課程 18名、計870名が学位記を受け、新たな道を歩みだしました。
尾池和夫学長は式辞で、「本日、皆さんが得られた学位は、長い年月の学習と研究の努力によって得られたもの。研究してきた分野の知恵を活かしながら、これから世界の舞台で活躍していただきたい」とエールを送りました。
卒業生を代表して、食品栄養科学部の大畑実咲さんは、「静岡県立大学で培ってきた学び、そしてコロナ禍における経験が私たちを導いてくれる。困難な状況にも立ち向かい『変化に適応する行動力のある世代』として、社会の一員としての責務を果たすべく精進していきたい」と決意を述べました。
式典では、学部 636名、短大部 108名、大学院博士前期課程・修士課程 108名、大学院博士後期課程・博士課程 18名、計870名が学位記を受け、新たな道を歩みだしました。
尾池和夫学長は式辞で、「本日、皆さんが得られた学位は、長い年月の学習と研究の努力によって得られたもの。研究してきた分野の知恵を活かしながら、これから世界の舞台で活躍していただきたい」とエールを送りました。
卒業生を代表して、食品栄養科学部の大畑実咲さんは、「静岡県立大学で培ってきた学び、そしてコロナ禍における経験が私たちを導いてくれる。困難な状況にも立ち向かい『変化に適応する行動力のある世代』として、社会の一員としての責務を果たすべく精進していきたい」と決意を述べました。
式典の様子
在学生代表送辞
卒業生代表答辞
記念撮影をする卒業生
学長式辞
静岡県立大学学長 尾池和夫
本日、学位授与された皆さん、おめでとうございます。静岡県立大学の役員、教職員を代表して心よりお祝い申し上げます。ご参列のご家族の方々、友人の方々にもお慶び申し上げます。ご自分の努力に加えて、さまざまな方々からのご支援があって、学位授与となりました。長い道のりを思えば、さまざまな場面が甦えると思います。学位は人生においての努力の証明でありますが、その証明を宝物として、これからの人生の中で大いに活かしていっていただきたく思います。
本日学位を得られたのは、論文博士1名、大学院博士後期課程、博士課程を修了した18名、博士前期課程、修士課程を修了した108名、学部を卒業した636名、短期大学部卒業の108名の皆さんです。本日学士の学位を得られた多くの方々は、2019年4月に入学して4年の課程を修了しました。新型コロナウイルス感染症対策が続いた4年間でした。英語のパンデミック(pandemic)とは、世界的な規模で流行することを意味しており、人類の歴史上、天然痘、結核、ペスト、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などのパンデミックが数多く発生している中の一つを体験する4年間になりました。歴史上、最も致命率の高いパンデミックは14世紀の黒死病(ペスト)で、ヨーロッパで大流行し、当時のヨーロッパ総人口の約3分の1にあたる2500万人から3000万人の死者を出したとされています。
今日の式典ではマスクをしなくてもいいということにしました。皆さんの中には初めて顔を見合わせている方もいるでしょう。また、3年半ぶりに顔を見せ合っている方たちもあることと思います。霊長類の中で白目を持っているのは人類だけです。その人類は2足歩行をすることで食べものを運び、分け合って一緒に囲むという習慣を持ちました。白目によってお互いを見つめ合い、食べものを奪い合うことなく食事を楽しむことになりました。それがなかなかできない状況がこの3年ほど続いています。
今回のCOVID-19 pandemicは、2019年末から始まったSARSコロナウイルス2 (SARS-CoV-2) を病原体として急性呼吸器疾患等を引き起こす新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) のパンデミックです。現代の人の交流が活発であることにより、全世界が感染症の危険に晒されました。世界規模でロックダウン、入国制限、行事の延期や縮小など、人類が経験していない事態が発生しました。ロックダウンなどの対策は、反グローバリゼーション、反民主主義的な側面を持つ政策でもあり、行動の自由は後退し、経済活動は縮小されました。世界の状況は一変し、生活のオンライン化が進み、外食、観光、運輸などオンライン化の困難な分野の廃業などが発生しました。ニューノーマルと呼ばれる人の活動の新しい形態へ適応が行われています。大学教育の進め方が急激に改革される中で教職員の献身的な努力が行われ、学生の皆さんの理解と協力のもと、高等教育の質を落とすことのないようにさまざまな工夫が行われました。それは社会全体の大きな経験でありました。
SARS-CoV-2が研究途上のウイルスであるため、COVID-19ワクチンの普及以後も普通の風邪のように扱って良いか不明であり、今も事態は一進一退を続けています。長期間続く後遺症 (Long COVID)も懸念されています。そのような社会状況の中での本日の学位記授与式です。世界保健機関 (WHO) は、1918年のスペイン風邪を超えるほどの人類史上最悪級のパンデミックという見解を示しています。皆さんは、今日を起点として世界のさまざまな場所で学習成果を活かしながら活躍することになりますが、そのすべてが人類史上初めての経験という舞台での活躍ということになり、それはそれで貴重な体験をする機会と前向きにとらえていただきたいと思います。
それに加えて、ウクライナ国内は戦争状態が1年以上継続しており、多くの人たちが犠牲者となっています。トルコとシリアの国境近くではマグニチュード7.8の大地震など一連の地震による震災で多くの犠牲者があり、また多くの人びとが寒冷地で避難生活を送っています。静岡県立大学にもそれらの国からの留学生がいて祖国のことを案じながら学習しており、トルコからの留学生たちの呼びかけでは多くの皆さんからの支援が寄せられました。
ロシアがウクライナへの侵略を開始して今年2月24日で1年となりました。アメリカ合衆国やヨーロッパ各国から支援を受けながらウクライナはロシアの侵略に抗戦している状況が続き、ウクライナの東部や南部では膠着状態が続いています。欧米の推計によると双方の兵士計約30万人が死傷、民間人2万人以上が死傷したとされています。
京都の神社には平和を願う180句の俳句が世界から寄せられて展示されました。〈地下壕に紙飛行機や子らの春〉という句は、戦闘が続くウクライナで避難した地下壕の中で、1人の若い女性が詠んだ句です。世界40か国から英語やフランス語などで平和へのメッセージが込められています。企画したのは黛まどかさんですが、私も呼びかけに参加して、〈向日葵や元は国境なき地球〉と詠みました。
ところで本日学位を得られた方々の在学中の研究成果は論文の形で残され、人類の知的財産の一部として保存され活用されることになります。学位授与にいたる前にはそれぞれの部局で研究発表会が行われます。その例を挙げてみると、2023年2月10日(金曜日)、短期大学部こども学科卒業研究発表会が講堂で実施されました。こども学科では毎年、2年生が卒業研究に取り組みます。文献調査、フィールドワーク、実践研究、絵本などの制作と、多種多様な手法で課題に取り組んだ成果を発表しました。また、大学院看護学研究科修士論文発表会が本年3月3日に小鹿キャンパスで開催されました。そのプログラムでは、「要介護状態にある在宅高齢者の療養生活継続に向けた透析看護支援 黒田沙織(在宅看護学)」から始まって、看護技術学、成人看護学、精神保健看護学、「妊娠期の妻を持つ夫同士で語り合うことの体験 渡部紗季(助産学課程)」まで、興味深い13件の研究課題がありました。
また、本日博士学位を得られた方の論文から1つを紹介したいと思います。佐藤美紀さんの論文題目は「尿酸代謝に対する低糖質食摂取の評価」というもので、審査の主査は新井英一教授です。近年、高尿酸血症の人が増えていますが、その食事療法として1日のプリン体摂取量を400mg以下に抑えることが推奨されています。現在300品目の食品について含まれるプリン体量がわかっていて、それを元に食事に含まれるプリン体の量を推定できるようになりましたが、まだ一般的な食事についてのプリン体量は不明でした。この論文では、病院で提供される一般的な治療食などの献立と、社会的に普及し始めた低糖質食の献立に含まれるプリン体量を推定して評価しました。その結果、病院食が高尿酸血症患者に供する食事として適当であることと、健常者に対して提供される低糖質食の摂取には慎重に考慮することが必要ということがわかりました。
本日、皆さんが得られた学位は、長い年月の学習と研究の努力によって得られた学位です。学位の名にふさわしい職場を得られ、学習し、また研究してこられた分野の知恵を活かしながら、これから世界の舞台で活躍していただきたいと願っています。本学が学位を授与した学位論文は静岡県立大学・短期大学部機関リポジトリに収録されます。リポジトリは、本学の学術研究成果を社会に還元し、学術研究や社会に貢献することを目的としています。本学の構成員が作成にかかわった電子的形態の学術研究成果を、附属図書館が網羅して収集し、蓄積し、保存します。それをインターネットを通じて学内外に無償で公開するシステムです。
これは電子化を進める取り組みの一つでもあります。本学もできる限り紙の使用を削減し、電子化を進める準備をしています。これからの世界は循環型社会をどのように構成するかということに関心がある社会になります。無駄を省くということが、あらゆる場面で課題となるのです。例えば、無駄な仕事をやめて働く時間を短くしつつ暮らしを豊かにするとか、無駄な食べ物を作らないようにしてゴミを減らすとか、無駄に資源を使わずに豊かな陸と海を守り、自然を大切にするというようなことが課題となるのです。国連の提唱するSDGsの目標を、一人ひとりが理解して何らかの行動をすることが、持続可能な社会の実現にやがてつながっていきます。
日本の内閣府の政策の中に、ムーンショット目標1があります。2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現するという設定です。誰もが多様な社会活動に参画できるサイバネティック・アバター基盤を実現するのが目標です。2050年までに、複数の人が遠隔操作する多数のアバターとロボットを組み合わせることによって、大規模で複雑なタスクを実行するための技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築します。2030年までには、1つのタスクに対して、1人で10体以上のアバターを、アバター1体の場合と同等の速度、精度で操作できる技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築します。人の能力拡張により、若者から高齢者までを含むさまざまな年齢や背景、価値観を持つ人々が、多様なライフスタイルを追求できる社会を実現するのです。空間と時間の制約を超えて、企業と労働者をつなぐ新しい産業を創出することが目標とされています。
世の中の進展によって皆さんが学習して得た知識は、近い将来、また学習を繰り返し、さらに学習を深めて生涯学習歴を更新していくことが、これからの世界では重要になります。本学も学習歴を更新するために貢献できる大学を目指して常に改革をしていなければならないと思っています。皆さんもこの大学を出て世界のさまざまな場所で大いにご活躍いただきたいと思っていますが、時には母校を思い出して、後輩たちの学習を見守ってあげていただきたいと思います。なにはともあれ心身の健康を保つことを第一として社会に貢献する人生を送っていただきたく思っています。
皆さまの未来が楽しい未来であることをこころから願って、本日の式辞の結びといたします。卒業、修了、まことにおめでとうございます。ありがとうございました。
(2023年3月17日)
本日学位を得られたのは、論文博士1名、大学院博士後期課程、博士課程を修了した18名、博士前期課程、修士課程を修了した108名、学部を卒業した636名、短期大学部卒業の108名の皆さんです。本日学士の学位を得られた多くの方々は、2019年4月に入学して4年の課程を修了しました。新型コロナウイルス感染症対策が続いた4年間でした。英語のパンデミック(pandemic)とは、世界的な規模で流行することを意味しており、人類の歴史上、天然痘、結核、ペスト、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などのパンデミックが数多く発生している中の一つを体験する4年間になりました。歴史上、最も致命率の高いパンデミックは14世紀の黒死病(ペスト)で、ヨーロッパで大流行し、当時のヨーロッパ総人口の約3分の1にあたる2500万人から3000万人の死者を出したとされています。
今日の式典ではマスクをしなくてもいいということにしました。皆さんの中には初めて顔を見合わせている方もいるでしょう。また、3年半ぶりに顔を見せ合っている方たちもあることと思います。霊長類の中で白目を持っているのは人類だけです。その人類は2足歩行をすることで食べものを運び、分け合って一緒に囲むという習慣を持ちました。白目によってお互いを見つめ合い、食べものを奪い合うことなく食事を楽しむことになりました。それがなかなかできない状況がこの3年ほど続いています。
今回のCOVID-19 pandemicは、2019年末から始まったSARSコロナウイルス2 (SARS-CoV-2) を病原体として急性呼吸器疾患等を引き起こす新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) のパンデミックです。現代の人の交流が活発であることにより、全世界が感染症の危険に晒されました。世界規模でロックダウン、入国制限、行事の延期や縮小など、人類が経験していない事態が発生しました。ロックダウンなどの対策は、反グローバリゼーション、反民主主義的な側面を持つ政策でもあり、行動の自由は後退し、経済活動は縮小されました。世界の状況は一変し、生活のオンライン化が進み、外食、観光、運輸などオンライン化の困難な分野の廃業などが発生しました。ニューノーマルと呼ばれる人の活動の新しい形態へ適応が行われています。大学教育の進め方が急激に改革される中で教職員の献身的な努力が行われ、学生の皆さんの理解と協力のもと、高等教育の質を落とすことのないようにさまざまな工夫が行われました。それは社会全体の大きな経験でありました。
SARS-CoV-2が研究途上のウイルスであるため、COVID-19ワクチンの普及以後も普通の風邪のように扱って良いか不明であり、今も事態は一進一退を続けています。長期間続く後遺症 (Long COVID)も懸念されています。そのような社会状況の中での本日の学位記授与式です。世界保健機関 (WHO) は、1918年のスペイン風邪を超えるほどの人類史上最悪級のパンデミックという見解を示しています。皆さんは、今日を起点として世界のさまざまな場所で学習成果を活かしながら活躍することになりますが、そのすべてが人類史上初めての経験という舞台での活躍ということになり、それはそれで貴重な体験をする機会と前向きにとらえていただきたいと思います。
それに加えて、ウクライナ国内は戦争状態が1年以上継続しており、多くの人たちが犠牲者となっています。トルコとシリアの国境近くではマグニチュード7.8の大地震など一連の地震による震災で多くの犠牲者があり、また多くの人びとが寒冷地で避難生活を送っています。静岡県立大学にもそれらの国からの留学生がいて祖国のことを案じながら学習しており、トルコからの留学生たちの呼びかけでは多くの皆さんからの支援が寄せられました。
ロシアがウクライナへの侵略を開始して今年2月24日で1年となりました。アメリカ合衆国やヨーロッパ各国から支援を受けながらウクライナはロシアの侵略に抗戦している状況が続き、ウクライナの東部や南部では膠着状態が続いています。欧米の推計によると双方の兵士計約30万人が死傷、民間人2万人以上が死傷したとされています。
京都の神社には平和を願う180句の俳句が世界から寄せられて展示されました。〈地下壕に紙飛行機や子らの春〉という句は、戦闘が続くウクライナで避難した地下壕の中で、1人の若い女性が詠んだ句です。世界40か国から英語やフランス語などで平和へのメッセージが込められています。企画したのは黛まどかさんですが、私も呼びかけに参加して、〈向日葵や元は国境なき地球〉と詠みました。
ところで本日学位を得られた方々の在学中の研究成果は論文の形で残され、人類の知的財産の一部として保存され活用されることになります。学位授与にいたる前にはそれぞれの部局で研究発表会が行われます。その例を挙げてみると、2023年2月10日(金曜日)、短期大学部こども学科卒業研究発表会が講堂で実施されました。こども学科では毎年、2年生が卒業研究に取り組みます。文献調査、フィールドワーク、実践研究、絵本などの制作と、多種多様な手法で課題に取り組んだ成果を発表しました。また、大学院看護学研究科修士論文発表会が本年3月3日に小鹿キャンパスで開催されました。そのプログラムでは、「要介護状態にある在宅高齢者の療養生活継続に向けた透析看護支援 黒田沙織(在宅看護学)」から始まって、看護技術学、成人看護学、精神保健看護学、「妊娠期の妻を持つ夫同士で語り合うことの体験 渡部紗季(助産学課程)」まで、興味深い13件の研究課題がありました。
また、本日博士学位を得られた方の論文から1つを紹介したいと思います。佐藤美紀さんの論文題目は「尿酸代謝に対する低糖質食摂取の評価」というもので、審査の主査は新井英一教授です。近年、高尿酸血症の人が増えていますが、その食事療法として1日のプリン体摂取量を400mg以下に抑えることが推奨されています。現在300品目の食品について含まれるプリン体量がわかっていて、それを元に食事に含まれるプリン体の量を推定できるようになりましたが、まだ一般的な食事についてのプリン体量は不明でした。この論文では、病院で提供される一般的な治療食などの献立と、社会的に普及し始めた低糖質食の献立に含まれるプリン体量を推定して評価しました。その結果、病院食が高尿酸血症患者に供する食事として適当であることと、健常者に対して提供される低糖質食の摂取には慎重に考慮することが必要ということがわかりました。
本日、皆さんが得られた学位は、長い年月の学習と研究の努力によって得られた学位です。学位の名にふさわしい職場を得られ、学習し、また研究してこられた分野の知恵を活かしながら、これから世界の舞台で活躍していただきたいと願っています。本学が学位を授与した学位論文は静岡県立大学・短期大学部機関リポジトリに収録されます。リポジトリは、本学の学術研究成果を社会に還元し、学術研究や社会に貢献することを目的としています。本学の構成員が作成にかかわった電子的形態の学術研究成果を、附属図書館が網羅して収集し、蓄積し、保存します。それをインターネットを通じて学内外に無償で公開するシステムです。
これは電子化を進める取り組みの一つでもあります。本学もできる限り紙の使用を削減し、電子化を進める準備をしています。これからの世界は循環型社会をどのように構成するかということに関心がある社会になります。無駄を省くということが、あらゆる場面で課題となるのです。例えば、無駄な仕事をやめて働く時間を短くしつつ暮らしを豊かにするとか、無駄な食べ物を作らないようにしてゴミを減らすとか、無駄に資源を使わずに豊かな陸と海を守り、自然を大切にするというようなことが課題となるのです。国連の提唱するSDGsの目標を、一人ひとりが理解して何らかの行動をすることが、持続可能な社会の実現にやがてつながっていきます。
日本の内閣府の政策の中に、ムーンショット目標1があります。2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現するという設定です。誰もが多様な社会活動に参画できるサイバネティック・アバター基盤を実現するのが目標です。2050年までに、複数の人が遠隔操作する多数のアバターとロボットを組み合わせることによって、大規模で複雑なタスクを実行するための技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築します。2030年までには、1つのタスクに対して、1人で10体以上のアバターを、アバター1体の場合と同等の速度、精度で操作できる技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築します。人の能力拡張により、若者から高齢者までを含むさまざまな年齢や背景、価値観を持つ人々が、多様なライフスタイルを追求できる社会を実現するのです。空間と時間の制約を超えて、企業と労働者をつなぐ新しい産業を創出することが目標とされています。
世の中の進展によって皆さんが学習して得た知識は、近い将来、また学習を繰り返し、さらに学習を深めて生涯学習歴を更新していくことが、これからの世界では重要になります。本学も学習歴を更新するために貢献できる大学を目指して常に改革をしていなければならないと思っています。皆さんもこの大学を出て世界のさまざまな場所で大いにご活躍いただきたいと思っていますが、時には母校を思い出して、後輩たちの学習を見守ってあげていただきたいと思います。なにはともあれ心身の健康を保つことを第一として社会に貢献する人生を送っていただきたく思っています。
皆さまの未来が楽しい未来であることをこころから願って、本日の式辞の結びといたします。卒業、修了、まことにおめでとうございます。ありがとうございました。
(2023年3月17日)