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メダカ孵化仔魚を用いた化学物質の内分泌撹乱活性の新規検出系を確立


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研究成果のポイント

  • 自発性摂餌開始前のメダカ孵化仔魚を用いた化学物質の「視床下部‒下垂体‒生殖腺軸に作用する内分泌撹乱活性」を総合的に検出できるスクリーニング系を確立
  • 従来法のように単一の内分泌撹乱活性(例えば、女性ホルモン様、男性ホルモン様)の検出ではなく、複数の検出法を組み合わせて化学物質や実環境水中の内分泌撹乱能を総合的に(多種類の内分泌撹乱活性を同時に)検出できる
  • 本研究による方法は、OECDテストガイドライン(化学物質やその混合物の安全性を評価するための国際的に合意された試験方法)の動物試験に該当せず、動物愛護の観点からも有用なスクリーニング法である

概要

大学院薬食生命科学総合学府環境科学専攻の渡邉明帆さん(2019年度博士前期課程2年)、小林 亨教授(研究代表者)、明正大純助教らの研究グループは、自発性摂餌開始前のメダカ仔魚の「視床下部‒下垂体‒生殖腺軸(HPG軸)に作用する化学物質の内分泌撹乱活性を、複数の検出法を体系的に組み合わせたスクリーニング系を用いて、ピル(避妊薬)の主成分であるレボノルゲストレル(LNG)の内分泌撹乱活性とその有害影響について検討しました。その結果、LNGが男性ホルモン活性だけでなく、女性ホルモン活性を有すること、そして、メダカ胚へのLNGの曝露は、その濃度に依存して、遺伝的メスのオス化(オスへの性転換)だけでなく、遺伝的雄のメス化(メスへの性転換)をもたらすことを初めて明らかにしました。さらに、LNG曝露によるメス化はLNG自身の有する女性ホルモン活性によることを明らかにしました。
本研究による成果は、生態系におけるヒトから排出された医薬品による内分泌撹乱活性の影響解明および、化学物質、実環境水中の内分泌撹乱活性の総合的な評価への貢献が期待できます。

本研究成果は、環境科学分野の国際学術雑誌『Science of the Total Environment』に2023年3月13日付でオンライン掲載されました。

論文タイトル:Levonorgestrel causes feminization and dose-dependent masculinization in medaka fish (Oryzias latipes): Endocrine-disruption activity and its correlation with sex reversal
雑誌:Science of the Total Environment, 876 (2023) 1627490.
DOI: 10.1016/j.scitotenv.2023.162740
掲載URL: https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2023.162740

図1.メダカを用いた化学物質、実環境水中の内分泌撹乱活性検出と有害性影響との相関

特記事項

本研究は、環境省の「化学物質の内分泌撹乱作用における日英国際共同研究」の一環として行われました。



(2023年4月4日)

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