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北海道・東北沖と能登半島の活発な地震活動に関する最新知見


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文部科学省「情報科学を活用した地震調査研究プロジェクト」(STAR-Eプロジェクト)の研究課題「長期から即時までの時空間地震予測とモニタリングの新展開」に参加する本学グローバル地域センター自然災害研究部門・楠城一嘉特任教授、統計数理研究所・熊澤貴雄特任准教授、同所・尾形良彦特任研究員(名誉教授)は、11月30日開催の第241回地震予知連絡会定例会にて、北海道・東北沖の地震活動と能登半島群発地震に関する招待講演を行います。地震活動の活発な両地域の推移を把握し将来に見通しを立てることに関連する研究成果なので、地震防災上、重要な講演です。

<会議名および検討課題名>
第241回地震予知連絡会定例会(https://cais.gsi.go.jp/YOCHIREN/index.html
重点検討課題「予測実験の試行(09) 地震活動の中期予測の検証」

<日時・場所>
2023年11月30日(木曜日)13時00分〜17時00分
国土地理院 関東地方測量部 地震予知連絡会小会議室
〒102-0074 東京都千代田区九段南1丁目1-15 九段第2合同庁舎(8階)

<論文1>
北海道・東北沖の地震のサイズ分布(b値)の時空間変化
静岡県立大学グローバル地域センター自然災害研究部門 楠城一嘉

<論文1のポイント>
  • 北海道・東北沖におけるグーテンベルグ・リヒター則のb値(図1)の時空間変化を報告する。
  • 東北沖地震前に減少したb値は現在高い値を維持している(図2)。b値は差応力と負の相関があるので、東北沖地震によって解放された応力は既に地震前の状態に戻りつつあるとは考えられない。
  • 十勝沖地震の震源域の東側ではb値は減少中で、東北沖地震前に観測された値に近づきつつある(図2)。この領域は応力が高まりつつあると示唆される。
  • 同領域は静穏化が継続中の地域に含まれ、十勝沖地震の前よりもプレート間の固着が強くなったと考えられる地域にも含まれる。
  • 北海道沖の丁寧な監視を今後も継続することが課題。

<論文2>
能登半島群発地震の経過と大地震前後の異常活動の解釈
情報・システム研究機構統計数理研究所 熊澤貴雄 尾形良彦

<論文2のポイント>
  • 2023年1月頃以後の北西部領域(A)の静穏化や南部領域(B)震源の東方への拡散、GNSS観測点間の斜距離増大はM6.5地震の深部でスロースリップを仮定したモデルによる応力変化や地殻変動と矛盾しない。
  • M6.5発生前の1日間に本震付近で纏まった活動(M≥1.0の地震が8個)が見られ、この前震群はそれ以前の群発地震の発生強度が低い部分で発生した。本震M6.5とその最大余震M5.9も同様に低い所で起こった。
  • 2022年6月20日のM5.0(2022年6月19日M5.4の最大余震)から2023年5月5日のM6.5にかけて、ストレス場に沿って地震が発生した。これは深部から浅部への流体の移動を示唆する(図3)。
  • 大森宇津モデルをM6.5本震から最大余震M5.9前までで当て嵌めると、最大余震付近での相対的な空白が明瞭になる。これは最大余震周辺でのゆっくりすべりで本震で誘発された余震活動にストレスシャドーが生じたためと解釈した。
  • 群発地震開始から2023年11月12日までのカタログに非定常ETASモデルを適用すると、背景強度は本震以降に各地域で一様に減衰し、再び上昇するパターンを見せた。これは本震によって一旦捌けた流体の分布が時間を置いて回復したものと考えられる。

図1

図1:地震の規模別頻度分布はグーテンベルグ・リヒター則に従う。b値は大きい地震と小さい地震の頻度の関係を特徴づける指標と見なせる。楠城一嘉提供。

図2

図2:過去3年間の地震活動を用いて計算されたb値の空間分布を示す。2011年東北沖地震の震源域周辺ではb値は高く、2003年十勝沖地震の震源域の東側ではb値は低い。楠城一嘉提供。

図3

図3: 2022年5月20日のM5.4から2023年5月5日M6.5にかけての震源分布。右図は左図矩形領域をX-Y軸に投射した深さ分布。熊澤貴雄氏提供。



【関連リンク】
◎文部科学省「情報科学を活用した地震調査研究プロジェクト」(STAR-Eプロジェクト)
https://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/jishin/projects/(外部リンク)

◎長期から即時までの時空間地震予測とモニタリングの新展開
https://star-e.ism.ac.jp/about/(外部リンク)

◎静岡県立大学グローバル地域センター
https://www.global-center.jp(外部リンク)

◎静岡県立大学グローバル地域センター自然災害研究部門(NaDiR)
https://shizuoka-earth.org(外部リンク)

◎統計数理研究所
https://www.ism.ac.jp/(外部リンク)




(2023年11月28日)

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