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南アルプスの「大地の動き」を、誰もが使えるオープンデータに(共同プレスリリース)


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静岡県立大学グローバル地域センター
情報・システム研究機構データサイエンス共同利用基盤施設 極域環境データサイエンスセンター
東京大学大学院情報学環・学際情報学府
ふじのくに地球環境史ミュージアム

南アルプスの「大地の動き」を、誰もが使えるオープンデータに 〜地震・地滑りのデータベースを公開し、観測の空白域に“蓄積・共有”の基盤を構築〜

静岡県立大学グローバル地域センター自然災害研究部門(NaDiR, ナディール) 特任教授 楠城一嘉、情報・システム研究機構データサイエンス共同利用基盤施設(ROIS-DS, ロイスディーエス)極域環境データサイエンスセンター 助教 奥野淳一、特任研究員 小財正義、東京大学大学院情報学環・学際情報学府 教授(同大学地震研究所 兼務) 酒井慎一、ふじのくに地球環境史ミュージアム 教授 中西利典らの研究グループは、地震活動と地滑りに関する二つのデータベースを構築し、NaDiRウェブサイトおよび分野横断型の研究データカタログ「AMIDER (アミダー)」上でオープンデータとして公開しました。アクセスが難しく観測の乏しい高山域に関する地殻活動のデータを継続的に蓄積し、誰でも利用・共有できる基盤(プラットフォーム)を整えたことが本成果の核心です。
特に本研究では、
  • 椹島ロッヂ・二軒小屋ロッヂ・千枚小屋に独自に設置した地震観測装置などをもとに、地震活動のデータベースを作成・公開したこと
  • 衛星の合成開口レーダー(SAR)解析などをもとに、地滑りのデータベースを作成・公開したこと
  • これらをKML/KMZ形式で公開し、Google Earthなどから誰でも閲覧・利用できるようにしたこと
を実現しました。
公開したデータベースは、NaDiRウェブサイト(https://shizuoka-earth.org/index.php/mountain_category/southern-alps/)およびAMIDERウェブサイト(地震:https://amider.rois.ac.jp/data/15182 / 地滑り:https://amider.rois.ac.jp/data/15183)から閲覧・取得できます。
※ AMIDERウェブサイトは、停電工事のため、2026年7月3日(金曜日)〜7月6日(月曜日)の間、一時停止します。この期間中も、データはNaDiRウェブサイトからご利用いただけます。

本成果について2026年7月7日13時〜15時、静岡市 井川生涯学習交流館で開催の「”大井川の流域”から未来を描き直す講演会」(参加無料・申込不要)にて報告します。詳しくはグローバル地域センターウェブサイト(https://www.global-center.jp/holding_guidance/20260707/index.html)をご覧ください。

概要

データベース (1) 静岡県北部 南アルプス周辺の地震計ネットワークから得られた地震活動データ(KML形式)
(2) 衛星観測から得られた静岡県北部 南アルプス周辺の地滑りデータ(KMZ形式)
研究グループ
  • 楠城一嘉|静岡県立大学グローバル地域センターNaDiR 特任教授
  • 奥野淳一|情報・システム研究機構データサイエンス共同利用基盤施設(ROIS-DS)極域環境データサイエンスセンター 助教
  • 小財正義|情報・システム研究機構データサイエンス共同利用基盤施設(ROIS-DS)極域環境データサイエンスセンター 特任研究員
  • 酒井慎一|東京大学大学院情報学環・学際情報学府 教授 (同大学地震研究所 兼務)
  • 中西利典|ふじのくに地球環境史ミュージアム 教授
公開先・ライセンス
研究のポイント
  1. 観測の空白域に「データを蓄積する基盤」を構築:静岡県北部 南アルプス(図1)は年間1〜4mm程度で隆起する国内最速級の隆起域で、日常的に地殻活動が生じる一方、急峻でアクセスが難しく観測点が少ない空白域でした。そのため、まずその地殻活動を捉える観測研究に着手しました(備考:リンク1)。本研究はそれを基点に、「データを継続的に蓄積・共有していく基盤(プラットフォーム)」(図2・3・4)を整えた点に意義があります。
  2. 多様な観測を統合: 地震は独自観測(図5)に加え、防災科学技術研究所の高感度地震観測網(Hi-net)・東京大学地震研究所・気象庁の波形記録から、地滑りは衛星「だいち2号」のSARと防災科学技術研究所の地すべり地形分布図から作成しました。
  3. オープンデータとして公開: KML/KMZ形式でGoogle Earth等から誰でも閲覧・利用でき、研究者だけでなく地域や教育現場でも活用できます(図4)。
  4. 工事前からのベースライン: リニア中央新幹線トンネル工事の前から観測・蓄積しているため、将来、掘削に伴う環境変化の有無を客観的に評価する基礎データとして役立つと期待されます。
著者達からのコメント
  • 今回の成果は、何か特定の異常を予測・予知するものではありません。重要なのは、データが散逸せず、継続的に蓄積・共有され、後世に活かせる基盤ができたことです。観測の難しい山岳域では、過去にさかのぼってデータを取り直すことは容易ではなく、いま観測し記録を残しておくこと自体に大きな価値があります。今後も観測を継続し、データ蓄積・共有を進めます。
  • 今回公開したのは地震と地滑りのデータですが、今後は湧水や地質などの指標へ広げ、ROIS-DSの共同利用研究の枠組みを活かしてオープンデータ化を進めます。観測の難しい山岳域で実現したこの取り組みは、他地域にも展開しうる一つのモデルになると考えています。
備考
  • リンク1|南アルプスの大地の動きを観測する研究を開始 〜静岡県立大学と東京大学の共同研究〜
  • 謝辞|本研究は、十山株式会社、ROIS-DS-JOINT (008RP2025) 、東京大学地震研究所共同利用(2026-M-04、2026-M-05)、南アルプス学会、Yahoo!基金 2023年度 防災減災活動支援助成プログラムから支援を受けました。
    ・地震に関する波形記録は、椹島ロッヂ、二軒小屋ロッヂ、および千枚小屋に設置された観測点を除き、防災科学技術研究所の高感度地震観測網(Hi-net)、ならびに東京大学地震研究所と気象庁の定常観測網で得られたものを使用しました。
    ・地滑りに関して、防災科学技術研究所地すべり地形分布図レイヤ提供サービスを使用しました。株式会社地球科学総合研究所から衛星データの取得の支援を得ました。原初データ: 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構。

図1. 静岡県北部 南アルプスの風景。(左)畑薙第一ダムからの眺め。手前は畑薙湖。(右)見晴台からの眺め。(楠城一嘉、2026年5月31日撮影)


図2. 公開した地震活動データ。AMIDERで公開した地震活動データを地図上に示したイメージ。
椹島ロッヂ・二軒小屋ロッヂ・千枚小屋に設置した観測点と周辺の観測点からなる観測網で地震を捉えた。
円の大きさは地震の規模を表す。棒の長さは地震の深さを示す。四角で囲まれた地域が観測のターゲットとした地域。観測の空白域にデータが整いつつあることを示す。


図3. 公開した地滑りデータ(地滑りと推定される領域)。衛星「だいち2号」のSAR解析と防災科学技術研究所の地すべり地形分布図から作成した、地滑りと推定される領域の分布イメージ。
南アルプスに地滑り地形が広く分布することを示す。


図4.データの流れ。南アルプスの観測 → デジタル化・データベース化 → オープンデータ公開 → 研究・防災・教育での利活用、という「蓄積と共有の基盤」を表す模式図。


図5. 山岳域での観測の様子。二軒小屋ロッヂに設置した地震観測装置(石で囲まれた地中に設置されている)、データ収録装置、バッテリーの写真。アクセスの難しい高山域で観測を続けていることを示す。(楠城一嘉撮影)


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