グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



AI時代の会計・ファイナンス研究を考える―最先端の研究手法と実践事例を紹介


ホーム >  ニュース >  AI時代の会計・ファイナンス研究を考える―最先端の研究手法と実践事例を紹介

7月21日、特別講義「AI時代における会計とファイナンスの融合:最先端アプローチと実践的事例」を開催しました。近年、AIやPython(パイソン)を活用して会計・ファイナンス分野の研究を行う機会が急速に広がっています。一方で、こうした技術を研究活動にどのように取り入れ、どのように評価・管理していくかについては、なお検討すべき課題が多く残されています。
今回は、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(KBS)出身および在学中の研究者2名を招き、会計とファイナンスの融合、AI活用の可能性、実証研究への応用についてご講演いただきました。

久岡広季氏は、「博士課程と会計研究におけるAI利用と事例紹介 ―鉛筆からエージェントAIまで」と題し、自身の研究経験を振り返りながら、AIを活用するうえで基礎知識が不可欠であることを説明しました。経済数学やPythonを地道に学んだ経験が、AIによって生成されたコードや分析結果を評価する力につながったことに加え、ChatGPTを利用したプログラム修正や英語論文作成、国際学会での発表経験が、その後の研究発展につながったと紹介しました。
また、近年のエージェントAIについては、ファイルの読込み、コードの実行、結果の検証、報告書の作成までを一連の作業として進めるなど、単なる対話型ツールから研究実務の一部を担う存在へと変化していると説明しました。一方で、AIには数値計算の結果を証明とみなしてしまう傾向や、「AIが書ける水準」と「人間が理解できる水準」との間に乖離が生じる可能性があり、そのため、AIの特性を理解し、ルールによって統制するとともに、出力を自分の言葉で理解し直すことが重要であると指摘しました。

続いて、黄耀偉氏が、「AI時代における会計とファイナンスの融合――研究アプローチの紹介と実証研究の実演」と題し、AIを用いた実証研究の具体的な進め方を紹介しました。
AIは、先行研究の整理、データ取得、前処理、可視化、分析、コード作成などを得意とする一方、仮説設定、因果関係の判断、分析結果の解釈については人間の役割が大きいことを説明しました。
実演では、適切な指示を与えることで、ファイナンス研究におけるベータ値の推定や、決算サプライズと株価反応の分析を短時間で実行できることを示しました。そのうえで、AI時代の研究者は、すべてのコードを自ら書く「プログラマー」ではなく、研究全体を設計し、AIに明確な指示を与え、その成果を検証・評価する「研究ディレクター」としての役割が求められると提言しました。

講演後の意見交換では、本学教員からも、分析コードの作成、共同研究における議論、研究計画や論文の改善などへのAI活用事例が共有され、参加者からは、社内ネットワーク上で利用するAIシステムについても紹介がありました。
今回の講義を通じて、AIは研究者に代わるものではなく、研究能力を拡張するための強力な手段であることが確認されました。同時に、基礎知識、研究アイデア、批判的な検証、そして最終的な判断と責任を担う人間の役割が、これまで以上に重要になることが共有され、有意義な学びの機会となりました。

久岡氏の講演の様子

黄氏の講演の様子

(2026年7月27日)

モバイル表示

PC表示