7月28日に発生した令和8年熊本地震により被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。現在も地震活動が続いています。安全の確保を最優先にお過ごしください。
1. これまでの研究成果
本学グローバル地域センター自然災害研究部門(NaDiR)は、中部大学、東海大学等との共同研究として、2016年熊本地震の発生直後から、熊本の布田川断層帯・日奈久断層帯にかかる力を調べてきました(リンク1-8)。地下の力を直接測ることはできませんが、その地域で起きた小さな地震の起こり方を統計的に解析すると、力のかかり具合を推定できます。この解析にはb値という数値を用います。力が強くかかる場所ではb値が小さくなることが知られています。
2019年8月に発表したb値に基づく論文では、2016年の地震で両断層帯の全体では力が解放された一方、日奈久断層帯の中央部だけは力が高いままと推定されました。そして、この場所を起点に断層のずれが始まり、2016年に動かずに残った南側へ広がる可能性があること、監視を強める必要があることを指摘しました(リンク3, 4)。同年9月5日には、地元の熊本県民へ説明するため熊本県庁で記者会見を行いました。2024年には、新しい解析手法で同じ場所を追跡し、2019年以降も力が高いままであることを公表しています(リンク7, 8)。
2019年8月に発表したb値に基づく論文では、2016年の地震で両断層帯の全体では力が解放された一方、日奈久断層帯の中央部だけは力が高いままと推定されました。そして、この場所を起点に断層のずれが始まり、2016年に動かずに残った南側へ広がる可能性があること、監視を強める必要があることを指摘しました(リンク3, 4)。同年9月5日には、地元の熊本県民へ説明するため熊本県庁で記者会見を行いました。2024年には、新しい解析手法で同じ場所を追跡し、2019年以降も力が高いままであることを公表しています(リンク7, 8)。
2. 今回の地震との関係
今回の地震は日奈久断層帯の一部で発生しました(リンク9)。速報値をもとにした現時点の検討では、断層のずれは本学が力の高い場所と指摘してきた領域の北のふち付近から始まり、その領域と2016年に動かずに残っていた区間を含む南西方向へ広がったと考えられ、これまでの本学の指摘と整合的です。本学は7月29日の地震調査委員会臨時会に、この解析結果を資料として提出しました(図1)。
日奈久断層帯には、今回のずれが及ばなかったとみられる区間が南側に残っています。今回の地震で周囲の力のかかり方がどう変わったかは今後の解析を待つ必要があり、継続的な監視が必要と考えています。
なお、この研究は地震が起こる時期を当てるものではなく、地震予知ではありません。注意すべき場所の可能性が相対的に高いか低いかを見分け、備えの優先順位を考えるための基礎情報となる手法です。日本ではどこでも地震は起こり得ます。本学が指摘してきた場所以外が安全だという意味ではありません。
日奈久断層帯には、今回のずれが及ばなかったとみられる区間が南側に残っています。今回の地震で周囲の力のかかり方がどう変わったかは今後の解析を待つ必要があり、継続的な監視が必要と考えています。
なお、この研究は地震が起こる時期を当てるものではなく、地震予知ではありません。注意すべき場所の可能性が相対的に高いか低いかを見分け、備えの優先順位を考えるための基礎情報となる手法です。日本ではどこでも地震は起こり得ます。本学が指摘してきた場所以外が安全だという意味ではありません。
3. 本記事を読まれた皆さまへ
静岡県内にも活断層はあり、例えば富士川河口断層帯は、今後30年間に地震が発生する可能性が日本の主な活断層の中では高いグループに入ります。加えて南海トラフの地震も想定されています。今回の熊本での出来事は、決して他の地域だけの問題ではありません。住宅の耐震化、家具の固定、水や食料の備蓄など、この機会に備えを点検していただきたいと思います。
本学のこの手法は、もともと静岡県の活断層や火山に応用することを目的として開発を進めてきたものです(リンク10-13)。熊本での検証を経たこの手法を、富士川河口断層帯をはじめとする県内の活断層、そして富士山や伊豆東部の火山活動の監視に活かし、本県の防災に役立つ研究を今後も進めてまいります。
本学のこの手法は、もともと静岡県の活断層や火山に応用することを目的として開発を進めてきたものです(リンク10-13)。熊本での検証を経たこの手法を、富士川河口断層帯をはじめとする県内の活断層、そして富士山や伊豆東部の火山活動の監視に活かし、本県の防災に役立つ研究を今後も進めてまいります。
リンク
- 論文
https://doi.org/10.1186/s40623-016-0558-2 - 論文
https://doi.org/10.1186/s40623-017-0598-2 - 本学プレスリリース
2016年熊本地震後の日奈久断層帯を監視する手法を開発(ニュース 2019年9月5日) - 論文
https://doi.org/10.1029/2019GL083463 - 本学プレスリリース
熊本地震の本震前に本震発生の兆候を示す特徴があったことを発見(ニュース 2021年12月23日) - 論文
https://doi.org/10.1016/j.tecto.2021.229175 - 本学プレスリリース
東北沖地震と熊本地震の震源域 次の大地震につながるリスクは今なお残るか ―楠城特任教授ら研究グループが評価(ニュース 2024年3月6日) - 論文
https://doi.org/10.1038/s41598-024-54576-x - 地震調査委員会「令和8年熊本地震の評価」(2026年7月29日)https://www.static.jishin.go.jp/resource/monthly/2026/20260728_kumamoto_1.pdf
- 本学プレスリリース
富士山噴火に備えたマグマ活動監視に新手法(ニュース 2023年7月10日) - 論文
https://doi.org/10.1038/s41598-023-37735-4 - 本学プレスリリース
伊豆半島東部のマグマ活動の推定に成功(ニュース 2025年5月26日) - 論文
https://doi.org/10.1016/j.jvolgeores.2025.108355
(2026年8月4日)





