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約60万人の東アジア人ゲノム解析から、2型糖尿病の遺伝的特徴を解明(共同プレスリリース)


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静岡県立総合病院
藤田医科大学
静岡県立大学

約60万人の東アジア人ゲノム解析から、2型糖尿病の遺伝的特徴を解明 ― 静岡県立総合病院での診療と研究を基盤に、東アジア人と欧州人の共通点と違いを明らかに ―

静岡県立総合病院リサーチサポートセンター齋藤洸平客員研究員(研究実施時、静岡社会健康医学大学院大学客員助教)、臨床研究部寺尾知可史免疫研究部長(藤田医科大学教授、静岡県立大学薬学部特任教授)および中国医薬大学附設医院(台湾)のFuu-Jen Tsai教授らの国際共同研究グループは、約60万人の東アジア人を対象とした2型糖尿病のゲノムワイド関連解析(GWAS)メタ解析を実施しました。本研究は、東アジア人に限定した単一祖先集団の2型糖尿病GWASメタ解析として、これまでで最大規模の研究です。
本研究では、東アジア人の大規模GWASを、統計的検出力が同程度となる欧州人のGWASと比較するとともに、疾患に関連する遺伝領域を詳細に絞り込むファインマッピング解析を行いました。その結果、ファインマッピングで同定された遺伝シグナルの約7割は東アジア人と欧州人の双方に共通している一方、脂質代謝や脂肪組織に関連する経路などでは、2型糖尿病への相対的な寄与に集団間の違いが認められました。
これらの結果から、2型糖尿病の遺伝的・生物学的基盤の多くは祖先集団を越えて共有されている一方で、共通する病態経路が疾患リスクにどの程度寄与するかには、集団による違いがあることが示されました。これは、日本人を含む東アジア人の遺伝的背景を踏まえて2型糖尿病を理解することの重要性を示す成果です。
この論文は2026年9月30日午後6時(BST同日10時)付で英ネイチャー・ポートフォリオの学術誌「Communications Biology(コミュニケーションズ・バイオロジー)」電子版に最終掲載(版面決定版)されました(オープンアクセス)。

研究の概要

論文 Decomposing population differences in type 2 diabetes through a high-resolution GWAS of ~600,000 individuals with East Asian ancestry
著者 筆頭著者:齋藤 洸平/責任著者:寺尾 知可史、Fuu-Jen Tsai 他19名
掲載誌 Communications Biology(コミュニケーションズ・バイオロジー)
DOI 10.1038/s42003-026-10791-y
研究の特徴 ・静岡県立総合病院で構築された臨床コホート
日常診療から得られた詳細な臨床情報と遺伝情報を組み合わせました。通常、大規模なゲノム研究では、多数の参加者を対象とするため、診断コードや自己申告などに基づいて疾患を定義する場合もあります。本研究では、専門医による臨床評価に基づく詳細な情報を活用し、実際の診療に根ざした臨床情報とゲノム情報を結びつけた日本人データを研究に組み込みました。
・解析規模の拡大
日本人GWASでは、静岡県立総合病院のデータに国立長寿医療研究センターの対照群データを統合し、解析規模を拡大しました。この日本人データを台湾のデータおよび既存の大規模な東アジア人GWASと組み合わせることで、約60万人規模の東アジア人GWASメタ解析へと発展させました。一つの病院で、患者さんの協力のもと日常診療から得られた詳細な臨床情報とゲノム情報を、国内外の大規模データと結びつけ、世界規模の2型糖尿病研究へと発展させた点も、本研究の大きな特徴です。
研究成果 日本人を含む東アジア人の2型糖尿病の遺伝的背景をより深く理解するための基礎的知見となり、将来的には、それぞれの遺伝的背景を考慮した疾患リスク評価や予防、精密医療の研究を進める上での基盤となることが期待されます。
<用語解説>
[1] 2型糖尿病(Type 2 Diabetes Mellitus: T2DM)
インスリン抵抗性の増大および相対的なインスリン分泌不全を背景とし、慢性的な高血糖を呈する代謝疾患。遺伝的素因に過食、運動不足、肥満などの生活習慣が加わることで発症し、日本の糖尿病患者の90%以上を占める。

[2] GWAS(ゲノムワイド関連解析)
疾患の感受性遺伝子を探す方法の一つ。ゲノム全体の遺伝子多型を用い、疾患のある群とない群で頻度に差がある部位を統計的に調べる。genome-wide association studyの略。

[3] ファインマッピング
GWASなどで同定された疾患関連領域(遺伝子座)において、形質に直接的な因果関係を持つ「真の因果変異(causal variant)」を特定する解析手法。強い連鎖不平衡(LD)にある複数の変異の中から、統計学的手法やゲノムアノテーションを用いて、最も因果性が高い変異を絞り込むプロセスを指す。

[4] 遺伝シグナル
遺伝統計解析(GWASなど)において、特定の遺伝子変異(SNPなど)と、解析対象とした疾患や形質との間に認められる統計学的な関連性のこと。
(2026年10月1日)

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